日本の海洋プラスチックごみ問題の状況と対策とは?漁業における最新の取組みも解説

日本の海洋プラスチックごみ問題の状況と対策とは?漁業における最新の取組みも解説【2026年最新版】

海洋プラスチックごみ問題は、近年、地球規模で深刻化している環境課題のひとつです。

こうした課題に対して、水産庁をはじめとした行政機関や漁業関係者が、さまざまな対策を講じ始めています。中でも「流出防止」や「海洋ごみの回収」、さらに「リサイクル・再資源化」といった取組みは、持続可能な水産業を実現するうえで欠かせないアクションです。

本記事では、水産庁の最新資料(令和8年1月公表)をもとに、日本の海洋プラスチックごみ問題の現状と、漁業分野で進められている最新の対策、そして課題解決に向けた先進的なソリューションについても解説します。

目次

日本の海洋プラスチックごみ問題と漁業の関係性

日本の海洋プラスチックごみ問題と漁業の関係性(イメージ)

漁具が約4割を占める国内の漂着ごみ

日本の海岸に漂着するごみのうち、漁業に由来する漁具は決して小さくない割合を占めています。

環境省が実施した調査によると、漂着ごみ全体(重量ベース)に占める漁具の割合は約4割にのぼります。
品目別の重量ランキングでも、プラ製ロープ・ひも、漁網、フロート・ブイといった漁業活動に起因するプラスチック製品が上位を占めており、漁業が海洋ごみに一定の影響を与えている現状が浮き彫りになっています。

プラスチック製漁具は年間約2千トンが海に流出?

日本では年間約1,000万トンのプラスチック製品が製造・利用されており、そのうち漁具として製造されるのは年間約2万トン前後と推計されています。

このうち、適切に管理されずに海へ流出する量は、業界のアンケート調査による推計で年間2,382トンとされています(令和7年度漁業種類別プラ系漁具海洋流出量調査)。特に、破損した漁具がそのまま海中に放置されたり、波浪や高波によって海上から流出したりするケースが報告されています。

また、こうしたごみは「ゴーストギア(Ghost Gear)」とも呼ばれ、海中で魚介類を捕らえ続けることで水産資源への悪影響や、生態系の破壊につながることが懸念されています。

見えないごみ「マイクロプラスチック」がもたらす問題

海洋プラスチックごみの問題は、目に見える漁具やごみだけにとどまりません。海に流出したプラスチックは、紫外線や波の力によって細かく砕かれ、5mm以下の微細な粒子「マイクロプラスチックへと姿を変えていきます。発泡スチロール製フロートやロープの破片などは、その発生源のひとつと指摘されています。

マイクロプラスチックは非常に小さいため、プランクトンや小魚がエサと間違えて取り込み、それを食べる魚、さらに人間へと、食物連鎖を通じて生態系全体に取り込まれていくことが懸念されています。魚介類を多く食べる日本では、私たちの食卓との関わりという点でも関心が高まっているテーマです。

こうした「見えないごみ」を増やさないためにも、漁具の適正な管理や、破損・劣化した漁具を発生元で確実に回収・資源化する取組みが、ますます求められています。

日本の海洋プラスチックごみ問題に対する漁業分野の取組み

漁船:海洋プラスチックごみ問題と漁業のイメージ

こうした課題に対して、水産庁をはじめとした行政機関や漁業関係者は、「ごみの流出防止」「ごみの回収」、さらに「リサイクル・再資源化」などのさまざまな対策を講じ始めています。

海洋プラスチックごみの流出抑制対策

漁業活動に伴うプラスチックごみの多くは、漁具の破損や自然災害によって意図せずに海に流出するケースが大半です。そのため、流出自体を未然に防ぐための取り組みが進められています。

  • 漁具の適正保管(不法投棄等の禁止)の徹底
  • 漁具の適正な使用・管理・処理の指導
  • 漁具のリサイクルの推進
  • 漁具マーキング(所有者情報等の記載)

また、水産庁では流出抑制のためのガイドラインの整備や、漁業者向けの研修・啓発活動にも取り組んでおり、現場での意識改革と行動変容を促しています。

海洋プラスチックごみの回収対策

すでに海洋中や海岸に流出してしまったプラスチックごみについては、回収による対処が不可欠です。水産庁や環境省、各自治体では、漁業者や漁協が自主的に行っている回収活動を積極的に支援しています。

  • 操業中に回収された海洋ごみを持ち帰る「持ち帰り漁業」
  • 漁業関係者による海洋ごみの回収活動
  • 海岸清掃活動への協力・参画

また、こうした回収活動を支援するために、水産庁や地方自治体ではごみの受け入れや処理体制も整備しています。漁業現場での「拾っても捨てられない」という課題を解消し、持続的なごみ回収活動の継続を後押ししています。

海洋プラスチックごみのリサイクル・再資源化

漁連・漁協が中心となって漁業系廃棄物を回収し、リサイクル・燃料化して再利用する取組みも増えています。

日本の漁業分野のプラスチックごみ対策(漁具のサーマルリサイクル)
画像引用:水産庁資料より

【リサイクルの事例】

  • 広島県漁連: 2024年11月に漁業者自らが発生元でプラスチックごみを資源化(ペレット燃料化)できる新プラントを導入。
  • 愛媛県愛南漁業協同組合廃プラスチック減容機を導入し、発泡スチロール製フロートをペレット燃料化。県内企業施設で燃料として利用。
  • 阪和興業グループ:日本真珠輸出組合や北海道漁連と連携して養殖用かご等を回収し、RPF(古紙・廃プラを原料とする固形燃料)化して製紙会社へ販売。

広島県漁連の取組み事例

広島県漁連が導入した漁業系プラスチックごみの再資源化プラント

2024年に漁業系プラスチックごみを資源化できる設備を導入し、2026年中にはそれらを熱エネルギーとして循環利用できるボイラの稼働も予定されています。県内の栽培漁業施設の水槽を温める熱源として、県内施設での導入が検討されています。

排出される廃フロート約3万個はA重油換算で約9万リットルに相当し、LCA分析を用いた試算によると従来の廃棄方法と比べて年間最大244トンのCO2排出量削減につながると予想されています。

使用済みプラスチックをコストをかけて廃棄するのではなく、地域の資源として活用することで、海洋への流出防止と、広島の牡蠣ブランド向上の双方に貢献する取組みとして注目されています。

海洋プラスチックごみ課題解決のためのアイデア

海洋ごみの回収・アップサイクルに関するソリューション

Clean Ocean Project
クリーンオーシャンプロジェクト公式サイト

『一般社団法人クリーンオーシャンプロジェクト』では、海洋ごみの回収から分別、リサイクルまで、海をきれいにするための様々なソリューションに取組んでいます。

海洋ごみの動きを知る:海洋観測システム

海洋プラスチックごみ問題において、「ごみがどこにどれだけ存在しているか」を把握することは、効率的な回収や対策の第一歩です。

クリーンオーシャンプロジェクトでは、IoT技術を活用した海洋観測システムや水上ドローンを使い、海洋ごみの「見える化」に挑戦しています。

観測システムにはカメラや各種センサーが搭載されており、潮流・風向・水温などのデータをリアルタイムで取得。これにより、ごみの漂流ルートを予測することが可能になります。また、水上ドローンで海面に浮かぶごみを自動回収する技術も導入され、人手不足や高コストという回収現場の課題に対応しています。

海中のごみを調査・回収:水中ドローン

海中に沈んだごみは目視や手作業での回収が難しく、従来は放置されがちでした。しかし近年は、水中ドローンを活用した調査・回収が注目を集めています。

水中ドローンに高精細カメラとセンサーを搭載し、港湾や漁港周辺の海底に沈んだごみを可視化。さらに、特殊なアーム付きドローンでごみを直接回収することも可能です。

海洋ごみのリサイクル・アップサイクル

回収された海洋プラスチックごみは、ただ処理するだけでなく、新たな製品へとリサイクルすることも可能です。

漁網やプラスチックごみを素材として再活用し、バッグやサンダル、アクセサリーなどのアップサイクル製品に加工することで、不要なごみが価値ある「モノ」へと生まれ変わります。海洋ごみを新たな価値ある製品として社会に戻す取り組みは、資源循環を進めると同時に、消費者の環境意識の向上にもつながります。

海洋ごみの資源化・燃料化に関するソリューション

ごみを資源化して付加価値をつける

スチロス2506新トップ画
発泡スチロール減容機 スチロス

海洋ごみのなかでも、漁業用フロートや魚箱に使われる発泡スチロールは、かさばるうえに濡れや汚れが付着していることが多く、「運びにくい」「処分費が高い」「再資源化が難しい」という課題を抱えがちです。

この課題を発生現場で解決するのが、発泡スチロール減容機「スチロス(STYROS)」です。発泡スチロールを最大1/25まで圧縮減容し、処理後は再生原料として高品質なリサイクルが可能です。

かさばるごみを「運べる資源」へと変えることで、運搬・処分コストを大幅に削減できるだけでなく、汚れて廃棄されるだけだった発泡スチロールが有価で買い取られる商材に変わった事例もあります。ごみを単に「処理する」のではなく、地域の新たな資源として付加価値をつける——それがスチロスの果たす役割です。

ごみをクリーンエネルギーへ変えて燃料化する

回収した漁業系プラスチックごみの課題は、その多くが海水や砂で汚れていたり、複数素材が混ざっていたりして、そのままではリサイクルしにくい点にあります。こうしたごみを地域内で有効活用する手段として、その場で燃料化するサーマルリサイクルの手法が有効です。

クリーンオーシャンプロジェクトの代表理事企業である株式会社エルコムは、使用済みプラスチックをその場でペレット燃料へ加工し、そのままエネルギーとして利用できるプラスチッククリーンエネルギー化システム「e-PEP」を提供しています。

e-pepシステム

「e-PEP」は、先述の広島県漁連での導入事例のように、汚れた漁具や複合素材でも発生元で資源化できるのが特長です。

事業者が排出したプラスチックごみを発生元でリサイクルすることで、廃棄物処理にかかるコストやCO2排出を抑えながら、ごみを出さずに環境保護にも貢献できます。

地域で発生したごみが、エネルギーとして地域内で循環利用できる仕組みが実現しつつあります。とくに離島や漁村地域では、廃棄物処理とエネルギー確保を両立できる画期的な取組みといえます。

まとめ

マイクロプラスチックは飲料水や食物から人体へ(イメージ)

海洋プラスチックごみ問題は、日本の漁業や海洋環境に深刻な影響を及ぼしており、その対策はもはや待ったなしの状況です。とくに漁具由来のプラスチックごみは、最新の環境省調査で漂着ごみの約4割を占めることが示されており、流出の抑制・回収・再資源化といった多角的な対策が求められています。

近年では、ごみ回収やリサイクルの新しい取り組みも増えてきており、これらの最新技術を積極的に活用することで、コストを抑えながら持続可能な漁業と環境保全の両立が可能になります。

今こそ、漁業者や自治体、そして関連するすべての関係者が連携し、実効性ある海洋プラスチック対策に踏み出すべき時です。本記事が、海洋プラスチック問題への理解を深め、具体的な行動へとつなげる一助となれば幸いです。

プラスチッククリーンエネルギー化システム 「e-PEP」とは?

e-PEPシステムとは、使用済みプラスチックをその場で燃料化し、そのままエネルギーとして利用できる全く新しいエコリサイクルシステムです。

事業者が排出したプラスチックごみを発生元でリサイクルすることで、廃棄物処理にかかるコストやCO2排出を抑えながら、ごみを出さずに環境保護にも貢献します。

詳細・カタログは以下のページからご覧いただけます。また、お見積はエルコム公式サイトよりぜひお問合せください。

日本の海洋プラスチックごみ問題の状況と対策とは?漁業における最新の取組みも解説【2026年最新版】

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