プラスチックが社会に必要な理由とは?正しい使用方法とリサイクルについて

様々なプラスチック

現代の私たちの生活には欠かすことのできない存在でもあるプラスチック。
家の中や外、街の中、乗り物から建物まで、プラスチックを目にしない日はほとんどないのではないでしょうか。

しかし、近年のSDGsや環境保護の風潮を受け「脱プラスチック」が世界的に求められるようになってきました。

人々の生活に役立っているプラスチックは、いったい何がそれほど問題と言われているのでしょうか?

この記事では、プラスチックの特徴、問題点と利点に焦点を当てながら、正しい活用方法とリサイクルについて解説していきます。

目次

プラスチックとは?

プラスチックは第二次世界大戦以降から大量生産・消費が始まり、その利便性の高さから、私たちの社会の発展を担ってきました。

では、そもそもプラスチックはどのような原料から、どうやって作られているのでしょうか。

プラスチックの原材料

プラスチックは主に石油や天然ガスを原料にしています。

石油は地下から採掘されて石油精製工場に運ばれ、そこで原油は蒸留や精製のプロセスを経てさまざまな石油製品となり、その過程の中でプラスチックの原料も作られます。

プラスチックに使用される原油の割合

このようにプラスチックは原油を原料とするため、「天然資源を消費しないために、プラスチックの使用を減らすべきだ」という意見を皆さんも聞いたことがあるのではないでしょうか。

しかし2018年のデータ(※1)によると、日本でプラスチックの原料となる原油の量は、原油全体の約3%程度。その他97%ほどの原油は、自動車や発電などのエネルギーや、他の石油化学製品等に使われています。

この数字から分かるように、プラスチックに使用される原油は全体のわずか一部であるため、プラスチック生産を減らしても原油自体の消費量を大きく減らすことは難しいと言われています。

(※1) 出典:石油化学工業会「石油化学工業の現状」2018年版より

プラスチックの問題点とは?

プラスチックでできたクエスチョンマーク

皆さんは、海で泳ぐウミガメの鼻にストローが刺さってしまった写真や動画などを見たことはあるでしょうか。

その動画は海外のとある環境団体によって撮影され、この事象をきっかけに国内外の法律の規制や改正が行われていったことから、「プラスチック=悪」という印象が世界的に強まるひとつの要因にもなったともいえます。

では、一般的にプラスチックは何が問題視されているのでしょうか。

プラスチックの増加と自然環境への影響

自然の中にプラスチック

プラスチックの生産量は増加し続けており、今後も増加が予測されています。

製造や廃棄に化石燃料由来のエネルギーが使用されるだけでなく、温室効果ガスの排出も伴うことから、地球環境への悪影響が懸念されています。

また、プラスチックは自然の中で分解されることが難しいため、不法投棄による森林や海洋への環境汚染も世界的に大きな問題となっています。

海洋プラスチックごみの影響

ウミガメとプラスチック

年間に流れ出る海洋プラスチックごみは、世界に合計1億5,000万トン以上(※2)と推定されており、その量は年々増加し続けています。

海洋プラスチックごみは生態系に影響を及ぼし、海洋生物に深刻な被害をもたらすだけでなく、経済や人間の健康にも悪影響を及ぼすことから、近年では地球規模の課題として問題視されています。

(※2)出典:WWFジャパン「海洋プラスチック問題について」より

マイクロプラスチックの影響

マイクロプラスチック

マイクロプラスチックは、5ミリメートル以下の微小なプラスチックの粒子です。陸上で生成され、洪水や雨水によって河川や海洋に流入します。

これを海洋生物が摂取することによって人間にも影響を及ぼす可能性や、プラスチックに含まれる化学物質が自然に溶け出すことによる環境や健康への悪影響が懸念されています。

プラスチックの利点や特性とは?

メリット

一方で、プラスチックには他の素材にはない多くの特徴やメリットもあります。

主な利点としては、以下の事柄があげられます。

多様性形状や機能において非常に多様性があり、様々な用途に適した製品を開発することができます。
軽量性  軽量でありながら高い強度を持つため、製品の軽量化や携帯性が向上し、運搬にかかる燃料消費を抑え、輸送コストの削減に寄与します。
耐久性耐候性や耐薬品性に優れていることから、屋外や厳しい環境下でも長期間使用できる製品を作ることができます。
絶縁性電気や熱の絶縁性が高く、導電性が低い特性を持つため、電子機器や電気配線などの分野で広く利用されています。
加工性簡単に成形や加工が可能です。この特性により、複雑な形状や細部まで精密に製品を作ることができます。
経済性低コストで生産できるため、大量生産や包装資材に適しています。
再利用性適切に分別ができるよう素材設計をすれば、リサイクルや再利用が可能であり、廃棄物の削減や資源の有効活用ができます。

プラスチックが私たちの生活に欠かせない理由

「今日、起きてから寝るまでに使ったプラスチック製のものはいくつありますか?」

と聞かれたら、多くの人はすぐには答えられないのではないでしょうか。
私たちの生活はそれだけ、数えきれないほど多くのプラスチック製品によって支えられています。

たとえば、皆さんが毎日使用する歯ブラシや食器、メガネ、携帯電話やパソコン、乗り物等に至るまで、その種類は多岐にわたります。

具体的に私たちの生活の中で使われている主要なプラスチックの役割について見ていきましょう。

食品衛生におけるプラスチックの役割

食品包装プラスチック

例えば、皆さんがよくスーパーなどで目にする食肉のパックや魚の袋などは、ほとんどプラスチック製ではないでしょうか。

プラスチックは軽量で耐久性があり、気密性や防湿性も併せ持つため、食品の鮮度を保つことができます。
また外部の汚染物質や細菌から食品を守り、衛生的な状態で長期間保存するのに適しているため、飲食業界や家庭などでの幅広い用途に使用されています。

医療分野におけるプラスチックの役割

プラスチックを使用する医療現場

プラスチックは滅菌処理や使用後の廃棄が容易であるため、感染症のリスクを軽減することができるうえに、耐薬品性と耐食性にも優れているため多くの医療器具や医療機器に広く使用されています。 

滅菌トレイや麻酔器具、血液バッグや点滴チューブなどの様々な用途に使用され、安全な薬剤の投与や病気の治療に貢献しています。

プラスチックは医療分野において欠かせない素材であり、その使いやすさや衛生性により、医療現場でのスムーズな医療提供に貢献しています。

交通機関におけるプラスチックの役割

車が並んでいる様子

プラスチックは乗り物など交通機関においても重要な役割を果たしています。

自動車や航空機などの車両製造において幅広く使われており、その軽量性と耐久性から、燃費の改善や航空機の燃料効率向上に役立っています。

安全性を高めるための役割も担っており、例えば車の衝突時にエネルギーを吸収するためのバンパーやエアバッグのカバーなどにもプラスチックが使用されています。

電子機器におけるプラスチックの役割

プラスチック製の電子機器のパネル

プラスチックは電気を絶縁する特性を持っているため、わたしたちが普段使用する電子機器の安全性を高める役割も果たしています。

部品や配線の絶縁材料として使用されるだけでなく、その柔軟性から複雑な形状や微細な部品にも適しています。また、熱や湿気に対しても耐性があるため、電子機器の信頼性や耐久性を向上させる役割もあります。

プラスチックは電子機器の軽量化、保護、絶縁などにおいて重要な役割を果たしており、その特性によって私たちの日常生活において欠かせない電子機器が実現されています。

プラスチックの問題はその処理方法にある

疑問に思う人

以上から、プラスチックはわたしたちの生活を豊かにし、社会の発展にも貢献する優秀な素材だということがわかりました。

では、これほど便利で使いやすいプラスチックをこれからも使用していくためには、どうしたらよいのでしょうか?

それには、プラスチックを単に「ごみ」にするのではなく、それを資源として再利用し効率的に活用することが重要となります。

プラスチックリサイクルの重要性

プラスチックリサイクル

プラスチックが問題として議論となる要因は、ほとんどの場合その処理方法についてです。

私たちがこれからもプラスチックを使い続けるためには、正しく使って正しく処理をすることが必要不可欠となります。

プラスチックは正しく分別や処理をすれば、再度資源としても利用することができます。
そのためには一人一人が正しい知識を身につけ、効果的にプラスチックのリサイクルを行っていくことが重要となります。

プラスチックリサイクルのためにできること

プラスチックごみなどの分別

では、プラスチックのリサイクルにあたって私たちができることはなんでしょうか。

プラスチックの分別:

プラスチックを適切に分別することが重要です。家庭などで使用したプラスチック容器はなるべくきれいに洗浄し、リサイクル施設や自治体の指示に従って、プラスチックの種類ごとに分別しましょう。

これにより、リサイクルプロセスが効率的に行われ、再利用される製品の品質も高まります。

プラスチック製品の再利用

プラスチック製品をできるだけ長く使用することもリサイクルの一環です。耐久性のある製品や修理可能な製品は、廃棄物の削減につながります。

また、不要になったプラスチック製品は寄付やリユースショップに提供することも考えましょう。

プラスチックリサイクルについて知る:

リサイクルの重要性や方法について、正しい知識を身につけることも大切です。

近年ではSDGsの高まりもあり、インターネットなどでも様々な情報を得ることができます。地域や自治体が実施しているプラスチックリサイクルプログラムに参加することも有効です。

まとめ:プラスチックは正しい使用と処理が必要不可欠!

プラスチックは他の素材にはない様々な特性を持つことから、非常に利便性が高く、食品衛生、医療、交通機関、電子機器をはじめ、多くの分野でわたしたちの生活に欠かせない重要な役割を果たしています。

そのため、わたしたちがプラスチックを使い続けていくためには、正しい利用と処理が最重要課題となります。

一人一人がプラスチックの正しい使い方とリサイクルについて知ることで、プラスチックの資源循環を促進し、環境問題の解決につなげていきましょう。

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