マイクロプラスチックの現状と人体への影響。最新研究で明らかになった事実とは?

マイクロプラスチックは5mm以下の小さなプラスチックごみのことで、人が生活する街中だけではなく、河川や海などの自然環境にも流出し、地球環境に深刻な影響を及ぼしています。

これまで海洋生物への被害が多く報告されてきましたが、人体への影響は未だ不明とされてきました。しかし最新の研究により、徐々にマイクロプラスチックが私たちの日常生活に与える影響や明らかになってきています。

本記事では、マイクロプラスチックをめぐる世界の最新の情報についてご紹介します。

目次

北極圏の海でもマイクロプラスチックが見つかる

北極でマイクロプラスチックが見つかる(イメージ)

ある研究者グループの調査によると、北極圏でもマイクロプラスチックによる汚染が進行していることがわかりました。

調査対象となったのは、北極海の総面積の13%にすぎない西側の部分の海水と堆積物。この海域だけで、21万メートルトン(約4億6,300万ポンド)のマイクロプラスチックが蓄積していると算定されました。

この調査結果はマイクロプラスチックによる汚染が都市部の海洋や河川だけではなく、すでに地球全体に及んでいることを示唆しており、プラスチック問題への早急な対策が全世界で求められています。

<出典>:WIRED「マイクロプラスチック汚染は北極圏にまで及んでいる:調査結果

マイクロプラスチックがヒトの体内から検出される

プラスチックの人体への影響研究のイメージ

学術誌「Environmental Science & Technology」に2023年7月に掲載された研究によると、心臓手術を受けた人の心臓から、マイクロプラスチックが初めて検出されたことが明らかとなりました。

心臓手術を受けた患者15名の検体を調べたところ、心臓の5つの組織から9種類のマイクロプラスチックが見つかり、その大きさは最大で0.469mm。また手術後にも9種類のマイクロプラスチックが見つかり、その大きさは最大で0.184mmとなっていました。

また、2018年までの研究ではすでに人間の便、肺、胎盤からもマイクロプラスチックが見つかっており、プラスチック片が全身に行き渡る可能性があることを示唆しています。

<出典>:Forbs Japan「マイクロプラスチックが人の心臓から初めて発見、汚染の影響が明らかに

マイクロプラスチックと心臓発作・脳卒中の関連性が発覚

医学誌Environmental Science & Technology」に2024年3月に掲載された研究では、血管内にたまったマイクロプラスチックと、心臓発作(心筋梗塞)、脳卒中、死亡のリスクの関連性が初めて言及されました。

研究は、首の頸動脈にたまったプラークを取り除く「頸動脈内膜剝離術」という手術を受けた304人の成人を対象に行われました。このうち、切除したプラークにプラスチックが含まれていた人は、含まれていなかった人に比べて、その後の約3年間に心臓発作や脳卒中を起こしたり何らかの原因で死亡したりする割合が4倍以上も高いことがわかりました。

研究者らによると、マイクロプラスチックが心臓発作や脳卒中の直接の原因になるかについては、現時点では立証されていません。ただし、プラスチックは多様な化学物質を含むことから、ホルモンの働きを乱したり、炎症を誘発する可能性は十分考えられるということです。

<出典>:NATIONAL GEOGRAPHIC「解説:マイクロプラスチックと心臓発作や脳卒中が関連、初の証拠

マイクロプラスチックは飲料水や食物から人体へ

マイクロプラスチックは飲料水や食物から人体へ(イメージ)

マイクロプラスチックは、普段私たちが飲む飲料水や食物、衣服に至るまで、様々な要因で人体に取り込まれる可能性があります。

また、海へ流されたプラスチックごみを魚や貝などが摂取することで、魚の体内にマイクロプラスチックや関連する有害物質が取り込まれるという報告が近年、様々な研究機関から報告されています。

これらの魚や貝を食べることで人体にマイクロプラスチックが蓄積する危険性も指摘されており、これによる影響について研究が進められています。

マイクロプラスチックの流出を防ぐためには

マイクロプラスチックの流出を防ぐためには(イメージ)

マイクロプラスチックは、さまざまな要因で私たちの街から自然環境へと流出します。さらなる流出を防ぐためには、以下の2つの側面からのアプローチが必要不可欠です。

発生抑制:プラスチックの使用を減らしごみを増やさないこと
適正処理:すでに発生したプラスチックごみの正しい処理や、リサイクルを行うこと

特に食料として私たちの体に入る、魚や貝などの海洋プラスチック問題は、対応が急務となっています。

漁業を営む事業者や市町村では、漁具として使用するフロートやブイ、発泡スチロール等の海洋流出が深刻化しており、迅速な対応が求められています。

これらの処理には手間やコストがかかるため、効率的なプラスチックリサイクルが可能な設備の導入なども検討しながら、マイクロプラスチック問題に取り組むことが重要です。

海ごみゼロを目指す取り組みについて知る

マイクロプラスチック対策はできることから取り組もう

マイクロプラスチックを魚が食べる様子(イメージ)

これまで明らかになっていなかったマイクロプラスチックの人体への影響が、最新の研究により徐々に解明されています。健康への影響も懸念されていることから、プラスチックの流出を防ぐことが必要不可欠です。

そのためには、私たち一人一人が意識して行動を起こすことが重要です。プラスチックについて知り、正しく使って正しく捨てることが、自然環境と人々の健康を守ることにも繋がります。

日々の心がけやできることから、ぜひ皆さんもマイクロプラスチックの削減に取り組んでいきましょう。

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