プラスチックの3つのリサイクル方法とは?それぞれの特徴や違いについて

私たちの社会で様々な用途に使用されているプラスチック。
使用後にごみとして捨てられるプラスチックが増えると、地球環境への負荷が高まり、持続可能性への深刻な課題を引き起こします。

そのため、近年ではプラスチックのリサイクルの重要性が世界的にも高まっており、正しく廃棄し、正しく処理することが求められています。

本記事ではプラスチックの3つの主要なリサイクル方法に焦点を当て、それぞれの特徴や違いについて詳しく説明します。

目次

プラスチックのリサイクルとは?

プラスチックのリサイクル

プラスチックのリサイクルとは、プラスチック製品を再利用し、ごみとして廃棄するプラスチックを減らすためのプロセスです。

これにより、天然資源の消費や二酸化炭素(CO2)排出を減らし、限りある資源を有効活用しながら、地球環境への負荷を軽減することを主な目的としています。

プラスチックの3つのリサイクル方法

プラスチックの3つのリサイクル方法

プラスチックリサイクルの種類は、主に以下の3つに分類されます。

マテリアルリサイクルプラスチックを原材料として加工し、再度プラスチック製品として再利用する方法
ケミカルリサイクルプラスチックに化学的な処理を用いて原料に戻し、別の用途で再利用する方法
サーマルリサイクル熱や圧力を利用してエネルギーに変えるリサイクル方法

各リサイクル方法によってメリット・デメリットなどの特徴は異なり、プラスチックの種類や用途に応じて適切な方法を選択する必要があります。

次項から、それぞれのリサイクル方法内容について詳しく説明していきます。

マテリアルリサイクルとは

マテリアルリサイクルイメージ

マテリアルリサイクルは、古いプラスチック製品を原材料として、再び新しいプラスチック製品として加工し、再利用する方法です。

一度使用したプラスチックを再利用するため、プラスチックごみの量を減らし、かつ新しい製品を生産するための天然資源の消費を減らすことが期待できます。

再生プラスチックは食品包装、建築材料、衣類、家電製品など、幅広い製品に適用されます。

従来では古いペットボトルから新しいペットボトルなど、同じ製品への再利用が多くなっていましたが、近年では全く別の製品に生まれ変わらせるといったマテリアルリサイクルの形も多く見られます。

循環型リサイクルの側面からはメリットの多いリサイクル方法ですが、デメリットとしては再利用までの工程が複雑で、労働力やコストがかかること、きれいに分別された単一素材のみで複合材や汚れたプラスチックは対応できないこと、新品プラスチックと比較しての品質低下の問題などが挙げられます。

ケミカルリサイクルとは

ケミカルリサイクルイメージ

ケミカルリサイクルは、化学的な処理を施して古いプラスチックを原料として加工し、再利用する方法です。この方法は、特に劣化したり異なるプラスチックが混在していても再利用が可能です。

ケミカルリサイクルでは、プラスチックを分解し、その原料である化学物質に戻します。分解された化学物質は、再度プラスチックとして再生されるほか、液体燃料やガス等のエネルギー、塗料・接着剤・樹脂等の化学製品など様々な用途に使われます。

プラスチック以外の用途にも再利用できることや、劣化した素材も有効活用できる点はメリットですが、一方で加工には大量のエネルギーが必要であること、火災や爆発の危険がありプロセスの安全性に課題があること、技術的に複雑であるため設備の建設と運用に多額のコストがかかる点はデメリットと言えます。

サーマルリサイクルとは

サーマルリサイクル(イメージ)

サーマルリサイクルは、使用済みプラスチックを燃やすときに発生する「熱エネルギー」を回収し、燃料として再利用するリサイクル方法です。

プラスチックは化石燃料から作られているため、石炭や石油と同じように発熱量が大きく、エネルギー効率の良い燃料として再利用することが可能です。

通常、サーマルリサイクルは廃棄物を専用の工場やプラントなどへ運び、高温の炉で焼却されます。しかし近年では、小さな事業所内でもプラスチックごみの焼却・熱エネルギー変換を行い、水や蒸気として利用できる小型ボイラなどの製品も開発されており、より高効率で省人化・省エネルギー化が可能なリサイクルの選択肢が広がっています

エネルギー回収の効率の面ではメリットが高いサーマルリサイクルですが、一方で、海外ではプラスチックを燃料にして熱回収することを「リサイクル」とはみなさない風潮もあり、モノや原料に変えるリサイクル手法の方が評価されることが多くなっています。

日本と世界におけるプラスチックリサイクルの状況

日本のプラスチックリサイクル率

日本はプラスチックリサイクルにおいて高い水準を維持しています。

2021年の国内のプラスチックごみの有効利用率は約87%となっており、日本がリサイクルに積極的に取り組んでいることを示しています。

廃プラスチックの総排出量と有効利用量
(出典: 一般社団法人 プラスチック循環利用協会

ただし、全体の中でサーマルリサイクルの比率が高くなっていることから、欧米の基準ではこれがリサイクルとして認められず、世界基準での評価はあまり高いとは言いがたい状況にあります。

日本でサーマルリサイクル率が高い理由

日本でサーマルリサイクルが積極的に行われているのには、いくつかの理由があります。

まず、日本はもともと天然資源が少ないためエネルギー需要が高く、効率の良いエネルギーの生産が重要視されています。サーマルリサイクルはプラスチック廃棄物をエネルギーに変換する効果的な方法として、資源の再利用よりもエネルギーの回収に焦点を当てる選択として採用されています

また、日本では廃棄物をエネルギーに換える技術が活発に開発されており、他の国と比べ技術力の面で進んでいると言われていることもサーマルリサイクルを後押しする理由の一つとなっています。

世界のプラスチックリサイクル率

では、世界のプラスチックのリサイクルはどうなっているのでしょうか。

ヨーロッパにおける2020年のリサイクル率は以下の表のとおりとなっています。

2020年の世界のプラスチックリサイクルの割合
(出典:PLASTICS EUROPE “Plastics – the Facts 2022”

割合ではオランダが1番高い約100%(うちリサイクル45%、サーマルリサイクル55%)、ノルウェーが約98%(うちリサイクル44%、サーマルリサイクル54%)となっています。

ヨーロッパでは使用済みプラスチックを再資源化するリサイクルの形が積極的に進められていることが分かります。

日本のプラスチックリサイクルにおける課題

プラスチックリサイクルの課題

プラスチックリサイクルは環境保護において重要ですが、その実現にはいくつかの課題もあります。

日本のプラスチック輸出と中国の輸入規制

日本は2017年には世界で3位のプラスチック輸出国で、主要な輸出先は中国でしたが、2017年に中国が廃プラスチックの輸入を禁止しました。

その後、他の東南アジアの国も輸入規制を始め、日本の廃プラスチックは行き先を失いました。これは近年の日本のプラスチックリサイクルにおける大きな課題となっており、国内での効率的かつ持続可能なリサイクルの必要性がよりいっそう高まっています。

バーゼル条約改正と廃プラスチック規制

さらに、2021年のバーゼル条約の改正により、廃プラスチックが規制対象になりました。プラスチック廃棄物を輸出する際には、事前に輸入国の同意が必要となったことで、使用済みプラスチックの国内での適正なリサイクルがこれまで以上に求められるようになりました。

これらのプラスチックリサイクルにおける課題は、持続可能な社会の実現のためにも取り組みが必要不可欠となっています。日本国内でのプラスチックリサイクルの循環を進めることが早急に求められています。

まとめ

プラスチックごみを分別する様子

プラスチックのリサイクルは環境保護に向けた重要な一歩です。

海外へのプラスチックごみの輸出規制が厳しくなる中、日本を含む多くの国がプラスチックごみの自国でのリサイクルに取り組んでいます。

リサイクルにおいては、環境負荷の低減と持続可能の確保が不可欠です。
日本国内、ひいては世界全体としてのリサイクル率を上げるためには、企業だけでなく個人の協力も必要となります。

私たちひとりひとりがプラスチックのリサイクルについて正しく理解し、それぞれに合ったリサイクル方法を選択して取り組んでいくことが大切です。

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プラスチックの3つのリサイクル方法

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