事業系ごみの物流効率化と処理コスト削減が同時に叶う!ごみ圧縮のメリットとは
事業系ごみの処理に頭を悩ませる事業者は少なくありません。
業態によっては毎月膨大な量のごみが排出される場合もあり、ごみの運搬処理にかかるコストと労働力を削減したい、と考える方も多いのではないでしょうか。
加えて、年々深刻さを増す物流業界の人手不足も、ごみの運搬処理の問題に暗雲をもたらしています。
本記事では、事業系ごみ処理の課題について、排出者側が取り組むことができる解決策とそのメリットについて、具体的な取り組み事例と併せてご紹介します。
日本における事業系ごみ
事業系ごみとは、事業活動を通して発生するごみのことです。ショッピングモールや小売店、工場、学校、ホテル、病院、事務所など、事業の種類に関わらず事業所から排出される事業系一般廃棄物のことを指します。
事業系ごみの年間排出量
日本における事業系ごみの量は、経済活動の拡大に伴って増加してきました。
環境省の調査(※1)によると、2021年度には約 1,171万トンものごみが排出されています。
事業系ごみの増加は、環境への影響など様々な問題を引き起こす可能性が懸念されており、リサイクルやリユースの推進、廃棄物の適切な分別と処理の重要性が社会的に高まっています。
(※1) 出展:環境省「一般廃棄物処理事業実態調査の結果(令和3年度)について」
事業系ごみの排出者責任
事業系ごみは、廃棄物処理法(※2)により排出者である事業者が適切に処理することが義務付けられており、これを「排出者責任」または「排出事業者責任」とよびます。
平成29年には環境省より「廃棄物処理に関する排出事業者責任の徹底について」の通知(※3)が発信されるなど、さらに近年のSDGsの風潮もあり、ごみの排出者責任を問う社会の目は年々厳しさを増しています。
事業系ごみは法律や規制に基づいて適切に分別・処理する必要があり、事業者は自治体や廃棄物処理業者とも連携し、環境への配慮を持ってごみの処理に取り組むことが重要です。
(※2) 出典:環境省「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」
(※3) 出典:環境省「廃棄物処理に関する排出事業者責任の徹底について(通知)」
事業系ごみ処理の課題
事業系ごみの処理にあたっては、さまざまな課題があります。
特に、「どうすればごみを効率的に排出できるか」について悩む事業者は多いのではないでしょうか。
業種によっては膨大な量の事業系ごみが発生する場合もあり、単純に排出するだけでも 多大なコストと労働力がかかります。
事業系ごみの処理にかかるコスト
処理コスト
事業系ごみの処理には、適切な分別、梱包、廃棄物処理施設への運搬が必要となり、これには人件費や施設の維持費などが発生します。
また、処分費用は一般的に重量単価または容積単価となっており、ごみの排出重量が多いほど高額となります。
物流コスト
事業系ごみを処理施設へ輸送するには、回収・運搬費などの物流コストがかかります。物流コストは主に、運搬に必要なトラックの台数(運搬回数)と距離によって決まります。
そのため、物流コストを削減するためにはごみを圧縮・破砕などして体積を減らし、運搬回数を削減するといった対策が必要です。
少子高齢化や社会風潮による労働力不足
少子高齢化の問題や、働き方改革による社会風潮の変化も、ごみ処理や物流業界のあり方に大きな影響を及ぼしています。
物流業界の高齢化と人手不足
物流ドライバーの数は年々減少傾向にあります。その背景には少子高齢化だけではなく、他業種に比べて低賃金、長時間労働の傾向などの過酷な労働条件が要因とも言われています。
一方で、新型コロナウイルスの影響もあり、宅配などの物流の需要は年々増加していることから、昨今の物流業界では、物流需要に供給が追いついておらず、「物を運びたくても運ぶドライバーが足りない」という深刻な状況になりつつあります。
2024年働き方改革による影響
さらに、2024年4月に実施される働き方改革の影響も、物流業界にとって深刻な課題です。
労働環境や労働条件の改善が目指されている一方で、労働時間数の減少による影響が懸念されており、物流の効率化や省人化はより重要な問題となっています。
事業系ごみ処理の課題解決策 – 排出側のできることとは?
では、これらのごみ処理における課題や物流の問題に対し、ごみの排出事業者はどのような対策をとっていくべきなのでしょうか。
【1】分別・リサイクル率の向上
多くの場合、事業系ごみは異なる種類や性質のごみが混在して排出されます。こうした混在ごみの適切な分別と再利用は、環境負荷を軽減する重要なステップです。
例えば、紙・プラスチック・ガラスなどを適切に分別し、正しくリサイクルをすることによって処理コストを削減できます。分別の徹底は、資源の有効活用と環境保全につながります。
また近年では、排出したプラスチックごみをコストをかけて運搬・処理するのではなく、自社内で燃料化し、直接エネルギーに変えて再利用できるエコリサイクルシステムも登場しています。
このようなシステムを活用することで、ごみの排出を大幅に軽減しながら、発生したごみを社内でリサイクルし、有効活用することができます。
【2】圧縮による運搬の効率化
ごみの圧縮や破砕により、運搬回数を削減する方法も非常に効果的です。
ごみを破砕して小さくしたり、コンパクトに圧縮することで、運搬時の容積を減少させ、輸送効率を向上させることができます。ごみを圧縮した分、トラック1台あたりに積める量が増えるため、少ない運搬回数でごみを運びきることができます。
物流コストの削減だけでなく、トラックの運搬回数を減らすことはCO2の排出量を削減することにもつながります。地球環境への負荷を減らすことができ、持続可能な社会の実現に貢献する、まさに一石二鳥の取り組みであるといえます。
【3】圧縮機能付きごみ箱による省人化
自動圧縮機能付きのごみ箱も近年、様々な業態で注目を集めています。
特に大型商業施設などでは、繁忙期にはごみ箱から溢れ出るほどのごみが発生することもあり、回収の手間も非常に大きくなります。圧縮機能により、ごみ箱に一度に収納できるごみの量が増え、回収や運搬の回数を大幅に減らすことができます。
また、圧縮機能付きごみ箱の中にはクラウド型の管理機能付きのものもあります。各所に設置されたごみ箱の状態をサーバに集約し、ごみの量がリアルタイムで監視できるほか、回収が必要になると清掃スタッフへ事前にメール通知が届く仕組みなども開発されています。
まとめ
近年の事業系ごみの処理にあたっては、多くの対策が求められています。特に少子高齢化や2024年の働き方改革が影響を及ぼす中、省人化と効率化は非常に重要なテーマとなっています。これは、ごみ処理だけの問題ではなく社会全体で取り組むべき課題でもあります。
物流の効率化と省人化は、SDGsの観点や社会的にも注目度の高い取り組みです。
事業者は排出者責任のもと適切なごみ処理を行い、これらの取り組みを行うことで環境負荷の軽減や持続可能な社会への貢献にもつなげていくことが重要です。
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