発泡スチロールの問題点とは?リサイクル、処理コスト削減方法についても解説

発泡スチロールの問題点とは(イメージ)

発泡スチロールは、その利便性からさまざまな分野で広く使用されています。しかし、使い終わった後に適切な処理がされないことにより、自然環境へ多大な悪影響を与えることが指摘されています。

前記事では、発泡スチロールの基礎知識や素材としてのメリット、活用方法についてご紹介しました。

今回は、発泡スチロールが便利な素材である一方で、自然環境への深刻な影響を与える問題点、正しい処理方法やリサイクルの選択肢についても解説したいと思います。

目次

発泡スチロールの問題点とは

発泡スチロールの問題点とは(イメージ)

便利でわたしたちの生活に欠かせない発泡スチロール。様々な用途でメリットも多いですが、一方でさまざまな問題も指摘されています。

廃棄物処理の課題

発泡スチロールは軽量で丈夫であることがメリットですが、廃棄処理においてはその点が問題となることが多くあります。サイズが大きくかさばるため、小売業や漁業など、大量に使用する場面では多くの廃棄スペースを必要とします。また、収集や運搬のために何度もトラックで運ばなければならないなど、高い輸送コストがかかることも大きな課題の一つ。さらに、焼却処分の際には有害物質が発生することから、適切な施設や環境での処理が必要不可欠となっています。

自然環境への影響

前述のように発泡スチロールは処理に手間がかかることから、使用後に適切な処理がなされず、自然環境に投棄されてしまうことも多くあります。
ごみとして捨てられた発泡スチロールは、風や水流、河川によって広範囲に拡散し、最終的に海へ流れつきます。海洋プラスチックごみとしてマイクロプラスチックとなり、海洋生物が誤って摂取することによる生態系への悪影響が懸念されています。

発泡スチロールの廃棄物処理方法

発泡スチロールの廃棄物処理(イメージ)

ここでは、事業系廃棄物として発泡スチロールを廃棄する場合の処理方法をご紹介します。

1.    分別収集

発泡スチロールの処理において、まず重要なのは正しい分別収集です。発泡スチロールは他のプラスチックゴミと混ざらないように分別する必要があり、分別収集を徹底することで、リサイクルの効率が向上します。分別後は、リサイクル工場や廃棄物処理場へ輸送し、適切な処理へ回します。

2.    リサイクル

正しく分別した発泡スチロールは、リサイクルして再度資源として利用できる場合があります。リサイクル方法には次のようなものがあります。

  • マテリアルリサイクル: 発泡スチロールを粉砕して再び製品化する方法。断熱材や包装材として再利用されます。
  • ケミカルリサイクル: 化学的に処理して、原料に戻す方法。これにより、新しいプラスチック製品を作ることができます。
  • サーマルリサイクル:専用の設備を利用し、発泡スチロールを熱エネルギーに変えて燃料として利用する方法。自社内の燃料としても利用が可能な場合があります。

3.    焼却処理

マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクルでの再利用が難しい場合は、適切な処分場で焼却処分されます。また前述のように、エネルギー回収型焼却(サーマルリサイクル)として、発生する熱をエネルギーとして利用する方法もあります。

発泡スチロールの廃棄物処理コスト

発泡スチロールの廃棄物処理コスト(イメージ)

発泡スチロールを処理するには、さまざまな費用がかかります。以下に主な費用項目を紹介します。

 収集費用:

発泡スチロールを分別して収集するための費用です。これは専用の収集車両や収集スタッフの人件費などが含まれます。発泡スチロールは軽量ですが体積が大きいため、収集回数が増えると費用も増加します。

運搬費用:

収集された発泡スチロールを処理施設まで運ぶための費用です。発泡スチロールの特性上、運搬には多くのスペースが必要となり、運搬効率が低下するため、運搬費用が高くなることがあります。また、2024年からは物流に関する法改正(2024年物流問題)の影響もあり、輸送・運搬のコストは増加傾向にあります。

処理施設費用:

発泡スチロールをリサイクルまたは焼却するための施設の運営費用です。リサイクル施設では発泡スチロールの粉砕や再形成にかかる機械のコスト、焼却施設では高温焼却炉の運転コストが含まれます。

発泡スチロールの廃棄物処理コストを削減するには

発泡スチロールの廃棄物処理コストを削減するには(イメージ)

発泡スチロールの処理コストを削減するためには、いくつかの方法があります。以下に具体的な事例をご紹介します。

効率的な分別収集の推進:

発泡スチロールを他の廃棄物と分別することで、リサイクルの効率が向上し、処理コストを削減することができます。事業所内での分別収集のルールを明確にし、効率的に分別できる方法を確立していくことが重要です。

圧縮減容処理の活用:

発泡スチロールは約98%が空気でできているため、圧縮・減容することで、体積を大幅に減らすことができます。これにより運搬効率が向上し、運搬費用を削減することができます。減容された発泡スチロールはリサイクル施設での処理も容易になります。

事業所内で導入・運用できる圧縮減容機もあり、最大で約1/25まで体積を減らせるものもあります。大量の発泡スチロールゴミを排出する事業所ではコスト面のメリットが大きいため、ぜひ導入を検討してみると良いでしょう 。

発泡スチロール減容器スチロス

燃料化設備の導入:

発泡スチロールの焼却処理を行う際に発生する熱をエネルギーとして再利用できる、エネルギー回収型焼却設備を導入することで、処理コストの削減が可能になります。

事業所内でも使用できる燃料ボイラを導入すれば、自社で排出したごみを自社内のエネルギーとして有効活用することも可能です。収集・運搬による物流コスト、廃棄物処理のコストがかからないうえ、エネルギーコストも削減できる可能性もあります。
コスト削減と環境への貢献を同時に実現できるエコリサイクルシステムとして、多くのメリットが期待できます。

プラスチックを焼却して熱エネルギーに変える樹脂燃料ハイブリッドボイラ「e-Vol」

発泡スチロールは正しい使用と処理が必要不可欠!

発泡スチロールはさまざまな用途で重宝されていますが、その環境負荷は深刻なものがあります。

適切なリサイクルシステムの導入や再利用の工夫により、資源を有効利用することができ、運搬・処理コストの削減にもつなげることができます。

ぜひ本記事を参考に、発泡スチロールの適切な処理やリサイクル、再利用へ取り組んで頂ければ幸いです。

発泡スチロールの問題点とは(イメージ)

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