脱炭素化や省人化対策にも!2024年に注目したい国の補助金制度とは?
気候変動をはじめとした環境課題や、2024年の働き方改革などによる社会問題への解決に向け、国内外では様々な企業や組織がCSVやサステナブル経営に向けた取り組みを進めています。
しかし、新たな取り組みには一定のコストがかかることから、なかなか一歩を踏み出せない・・という事業者も多いのではないでしょうか。
実はこのような課題解決に向けたソリューション導入に対して、国による様々な助成・補助事業が用意されています。
本記事では、事業者が環境・社会課題へ取組むにあたって活用可能な補助金・助成金について解説します。ぜひ国や自治体の支援制度も活用しながら、課題解決に向けた取組みを行っていきましょう。
補助金・助成金とは?
補助金や助成金は、主に国や地方自治体(または民間の団体)が管轄しており、企業・団体による新規事業や設備投資、研究開発、環境改善など、様々な活動を支援するために支給される資金です。
内容により申請要件や支給金額は異なりますが、近年では環境課題への取組み(再生可能エネルギーの導入、省エネ技術の開発)や、社会課題(省人化・省力化等)に関する補助金も増えてきています。
これらをうまく活用することで、経済的な負担を抑えながら事業を行うことが可能になります。自社が取り組みたい事業にマッチする補助金があれば、ぜひ申請を検討してみましょう。
環境・社会課題に関連する補助金
さまざまな環境問題や社会問題への対応が求められる中、多くの補助金制度が提供されています。ここでは2024年度(令和6年度)に注目したい補助金・助成金をピックアップしてご紹介します。
脱炭素・省エネに関する補助金
省エネ補助金(経済産業省)
工場・事業場において、エネルギー消費効率の高い設備への更新等を支援する補助金です。
<補助対象・内容>
(1) 先進事業:
高い技術力や省エネ性能を有しており、今後、導入ポテンシャルの拡大等が見込める先進的な省エネ設備等の導入を行う省エネ投資について、重点的に支援。
【上限額】15億円
【補助率】中小企業10/10以内、大企業3/4以内 等
(2) オーダーメイド型事業:
個別設計が必要な特注設備等の導入を含む設備更新やプロセス改修を行う省エネ取組に対して支援。
【上限額】15億円
【補助率】中小企業10/10以内、大企業3/4以内 等
※投資回収年数7年未満の事業は、 中小企業1/3以内、大企業1/4以内とする。
(3) エネマネ事業:
エネマネ事業者等と共同で作成した計画に基づくEMS制御や高効率設備の導入、運用改善を行うより効率的・効果的な省エネ取組について支援。
【上限額】1億円
【補助率】:中小企業1/2以内、大企業1/3以内
<出典および応募要項詳細>
経済産業省「令和6年度「先進的省エネルギー投資促進支援事業費」に係る補助事業者(執行団体)の公募について」
工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(環境省)
脱炭素化のロールモデルとなる取組みを支援し、脱炭素化に向けて更なる排出削減に取り組む事業者の裾野を拡大するための事業です。
<補助対象・内容>
(1) CO2削減計画策定支援:
中小企業等による工場・事業場でのCO2削減目標・計画の策定を支援。
【上限額】100万円
【補助率】:3/4
※ CO2 排出量を見える化するDXシステムを用いて運用改善を行うDX型計画は、補助上限200万円
(2) 省CO2型設備更新支援:
A. 標準事業 CO2排出量を工場・事業場単位で15%以上又は主要なシステム系統で30%以上削減する設備更新を支援
【上限額】1億円 / 【補助率】:1/3
B. 大規模電化・燃料転換事業 主要なシステム系統でi)ⅱ)iii) の全てを満たす設備更新を支援
【上限額】5億円 / 【補助率】:1/3
ⅰ)電化・燃料転換 ⅱ)4,000t-CO2/年以上削減 ⅲ)CO2排出量を30%以上削減
C. 中小企業事業 中小企業等による設備更新に対し、i)ⅱ)のうちいずれか低い額を支援。
【上限額】0.5億円
ⅰ)年間CO2削減量×法定耐用年数×7,700円/t-CO2(円) ⅱ)補助対象経費の1/2(円)
(3) 企業間連携先進モデル支援:
Scope3削減に取り組む企業が主導し、サプライヤー等の工場・事業場のCO2排出量削減に向けた設備更新を促進する取組を支援(2カ年以内)
【上限額】:5億円(全体上限)
【補助率】:1/3、1/2
(4) 補助事業の運営支援(委託):
CO2排出量の管理・取引システムの提供、実施結果の取りまとめ等を行う。
<出典および応募要項詳細>
環境省「脱炭素経営によるバリューチェーン全体での脱炭素化の潮流に着実に対応するための工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(SHIFT事業)」
プラスチック循環・海洋プラ問題に関する補助金
農畜産業プラスチック対策強化事業 補助金(農林水産省)
令和元年5月に閣僚会議で決定された「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン」等に基づき、各業界におけるプラスチックごみ対策を支援する補助金です。
<補助対象・内容>
(1) 農畜産業における廃プラスチック対策の推進:
農畜産業由来の廃プラの排出抑制・資源循環利用の推進に向けた調査の取組を支援。
【上限額】400万円
(2) プラスチックを使用した被覆肥料に関する調査:
マイクロプラスチックの海洋流出抑制のための調査に関する支援。
【上限額】800万円
<出典および応募要項詳細>
農林水産省「令和6年度農林水産分野における持続可能なプラスチック利用対策事業のうち農畜産業プラスチック対策強化事業の公募について」
※こちらの補助金は2024年度の募集は終了していますが、2020年頃から毎年継続して実施されています。
プラスチック資源・金属資源等のバリューチェーン脱炭素化のための高度化設備導入等促進事業(環境省)
自治体・企業によるプラスチック資源の回収量増加、再生可能素材の活用を推進するため、脱炭素型のリサイクル設備・再生可能資源由来素材の製造設備等の導入支援を行う事業です。
<補助対象・内容>
(1) 省CO2型プラスチック資源循環設備への補助:
プラスチック資源循環の取組全体を通してのリサイクル設備等の導入、再生可能資源由来素材の製造設備の導入、プラスチック使用量削減に資するリユースに必要な設備の導入、紙おむつ等の複合素材のリサイクル設備の導入を支援。
【補助率】:1/3、1/2
(2) 金属・再エネ関連製品等の省CO2型資源循環高度化設備への補助:
資源循環を促進するため、工程端材、いわゆる都市鉱山と呼ばれている有用金属を含む製品及び再エネ関連製品の再資源化を行うリサイクル設備の導入を支援する。
【補助率】:1/3、1/2
<出典および応募要項詳細>
環境省「プラスチック資源・金属資源等のバリューチェーン脱炭素化のための高度化設備導入等促進事業」
その他:産業廃棄物排出抑制に関する補助事業(各地方自治体)
産廃(事業ごみ)の排出削減については、国ではなく地方自治体で行っている補助事業・補助金も存在します。
以下は、過去に実施された主な自治体の補助事業の事例です。
・ 北海道「北海道循環資源利用促進税事業」:
産業廃棄物の排出抑制や循環的な利用、その他適正な処理のため、様々な施策を実施。
・三重県「三重県産業廃棄物抑制等事業費補助金」:
産業廃棄物排出事業者や処理業者による発生抑制・循環的な利用・減量化のための研究・技術開発等を支援。
・広島県「広島県廃棄物排出抑制・リサイクル施設整備費等補助金」:
産業廃棄物の最終処分量を削減するための施設整備」や、「産業廃棄物の埋立抑制、排出抑制、リサイクルに資する研究開発」を支援。
実施内容は各都道府県、市町村等ごとに異なるため、所属の自治体で補助金を実施している場合は問い合わせてみてもよいでしょう。
省人化・省力化に関する補助金
中小企業省力化投資補助事業(中小企業庁)
売上拡大や生産性向上を後押しするために、人手不足に悩む中小企業等に対して、省力化投資を支援し、生産性向上や賃上げにつなげることを目指すための補助金。
<補助対象・内容>
・省力化投資補助(カタログ型):
IoT、ロボット等の人手不足解消に効果がある汎用製品を「カタログ」に掲載し、中小企業等が選択して導入できるようにすることで、簡易で即効性がある省力化投資を促進する。
【上限額】従業員数5名以下:200万円(300万円) / 従業員数6~20名:500万円(750万円) 従業員数21名以上:1000万円(1500万円) ※賃上げ要件を達成した場合、()内の値に補助上限額を引き上げる。
【補助率】1/2
現在までに公表された情報によると、「省力化投資補助金は2026年(令和8年)9月末までに15回程度(公募頻度は2か月に1回)、採択予定件数は計12万件程度」の公募を予定しているとのことです。
公募の開始は2024年(令和6年)3月頃になると予想されているため、ぜひ注目しておきたい補助金です。
<出典>:経済産業省「令和5年度補正予算の事業概要(PR資料)」
エイジフレンドリー補助金(厚生労働省)
⾼齢者を含む労働者が安⼼して安全に働くことができるよう、中小企業事業者による高年齢労働者の労働災害防止対策や健康保持増進のための取組に対して支援する補助金。
<補助対象・内容>
(1)高年齢労働者の労働災害防止対策:
高年齢労働者にとって危険な場所や負担の大きい作業を解消する取り組みに要する経費(機器の購入・工事の施工等)
【上限額】100万円(税抜)
【補助率】:1/2
(2)コラボヘルス:
コラボヘルス(保険者と事業者が積極的に連携し、予防・健康づくりを効率的・効果的に実行すること)等の労働者の健康保持増進のための取組みに要する経費
【上限額】30万円(税抜)
【補助率】:3/4
<出典および応募要項詳細>
厚生労働省「エイジフレンドリー補助金について」
※2024年度の公募情報はまだ出ていませんが、2020年度頃から毎年実施されており、今後も継続が期待されています。
まとめ
補助金制度は、環境問題や社会課題への取り組みをはじめ、さまざまな分野で活用することができます。特に脱炭素化や2024年問題、省人化・省力化に関する対策は、多くの企業・団体が早急に取り組むべき課題でもあります。
補助金の公募情報は定期的に更新されているため、積極的に情報収集を行っていくことをおすすめします。ぜひ国や自治体の支援制度も活用しながら、課題解決に向けた取組みを行っていきましょう。
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