【2025年】世界のプラスチック規制の最新動向を解説!国連「国際・プラスチック条約」と各国の動きとは

2025年現在、国連が主導する「国際プラスチック条約(Global Plastic Treaty)」の交渉が進んでおり、同年8月には最終合意が目指されています。
さらにEUや北米、アジア各国でも、使い捨てプラスチック製品の禁止や、再生材使用の義務化など、実効性のある政策が次々に施行される予定です。
本記事では、国連による「国際プラスチック条約」を中心に、2025年に注目すべき世界各国のプラスチック規制の最新動向について詳しく解説します。
2025年、世界のプラスチック規制が大きく動き出す

プラスチック規制はなぜ今、国際的に加速しているのか
世界中で使用されているプラスチックは、その利便性の高さから幅広い産業で活用されていますが、その一方で廃棄物の増加、海洋汚染、気候変動など深刻な問題を引き起こしています。
特に近年注目されているのが、プラスチックが分解されて生じるマイクロプラスチックの環境・人体への影響です。
こうした状況を受け、国際社会ではプラスチックの根本的な排出削減と、再資源化を含めた包括的な対策が求められています。
プラスチック規制に対して今後求められる対応とは?
2025年以降、多くの国や地域でプラスチック規制が本格化する中、企業は従来の対応では不十分になる可能性があります。
特に製造業や食品・物流分野では、包装材や使い捨て製品の素材変更、再生材の利用義務化に直面することになります。
それに加え、プラスチックごみの処理においても、圧縮処理やリサイクル燃料化(再エネルギー化)などのソリューションが求められてきています。自社で排出されるプラスチックごみを適切に管理・再利用することで、環境負荷を抑えるだけでなく、企業のサステナビリティ評価や法令遵守への対応にもつなげていくことが重要です。

国連「国際プラスチック条約」の概要と交渉状況
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【国際プラスチック条約】とは?
「国際プラスチック条約(Global Plastic Treaty)」は、プラスチックによる環境問題に対処するため、国連環境計画(UNEP)が主導している国際的な法的拘束力を持つ条約の策定プロセスです。
この条約は、プラスチックの製造・使用・廃棄のライフサイクル全体にわたって規制や対策を講じることを目的としており、単なるリサイクルだけでなく、根本的な「プラスチック生産削減」や再資源化の仕組み強化まで視野に入れています。
国連では2022年から政府間交渉委員会(INC)を設置し、世界各国とともに条約内容の詳細な協議が進められています。

【国際プラスチック条約】交渉の進捗と2025年のスケジュール
これまでに「INC-1〜INC-5.1」までの5回の政府間交渉会議が開催され、直近では2024年11月に韓国・釜山でINC-5.1が実施されました。残念ながら、条約の最終草案への合意には至らず、議論は次回に持ち越される形となっています。
今後の焦点は、2025年8月5日~14日にスイス・ジュネーブで開催される「INC-5.2」会議です。この会議では、条約案の最終調整と合意が目指されており、2025年中に条約が正式に採択され、各国で段階的に法制度化が進む可能性が高まっています。
【国際プラスチック条約】対立する立場:プラスチック生産削減 vs リサイクル強化
国際プラスチック条約の交渉では、条約の焦点を「プラスチック生産の根本削減」に据える立場と、「リサイクルや廃棄物管理の強化」に重きを置く立場に分かれています。
たとえば、EU諸国、アジア主要国、南米などで構成される「高志向連合(High Ambition Coalition)」は、プラスチックの生産量そのものを削減する厳格な目標を条約に盛り込むよう主張しています。これは、環境負荷の根本原因に切り込む考え方です。
一方、サウジアラビア、ロシア、イラン、その他のアラブ諸国などの化石燃料産出国は、プラスチック生産の制限には慎重で、「プラスチック汚染と廃棄物のみに焦点を当てるべき」と主張しています。
このような立場の違いが交渉の妨げとなっており、最終的な条文内容によって各国の法制度や企業への影響も大きく変わる可能性があります。
EU・北米等のプラスチック規制の動き(2025年)
2025年には、EUをはじめとする先進国を中心に、実効性のあるプラスチック規制の導入が相次ぎます。
使い捨てプラスチックの禁止や再生材使用の義務化など、企業活動にも直接影響を与える法規制が増加しており、日本企業にとっても海外市場での対応力が求められます。
EUのプラスチック規制の動き

EUは世界の中でも最も先進的なプラスチック規制政策を進めており、2025年には以下の2つの大きな動きが予定されています。
【1】包装材規制(PPWR: Packaging and Packaging Waste Regulation)
2024年3月に合意された「PPWR」は、すべての包装材に対してリサイクル可能性の義務付けを導入し、2025年2月に正式発効、2026年に段階的適用が始まります。
具体的には、リユース可能な包装材の比率目標や、不必要な包装の制限、再生プラスチックの使用率目標などが定められます。
<出典>
欧州連合日本政府代表部「EUのPPWR (包装・包装廃棄物規則)の概要」
【2】使い捨てプラスチック指令(SUP指令)
2021年に始まったSUP指令は、2025年からさらに厳格化され、以下が義務付けられます。
- ペットボトルには25%以上の再生プラスチックの使用を義務化
- EPS(発泡スチロール)製食品容器・飲料容器の禁止
- 使い捨てプラ製ストロー・カトラリーの全面禁止継続
これにより、包装材の設計段階から環境対応が不可欠になっていくと予想されています。
カナダのプラスチック規制の動き

カナダでは、2022年から段階的に使い捨てプラスチックの製造・輸入・販売を禁止してきましたが、2025年末には使い捨てプラスチックの輸出も全面禁止される予定です。
この対象には、プラスチック製レジ袋、ストロー、スプーンやフォーク類、食品容器などが含まれており、国内外のサプライチェーン全体での代替素材導入やリユース化が求められています。
企業にとっては、海外輸出時の素材選定や包装方法の見直しが必要となる可能性があります。
<出典>
JETRO「カナダ、使い捨てプラスチック禁止規制が施行」
アメリカのプラスチック規制の動き

アメリカは連邦レベルでの包括的なプラスチック規制はありませんが、各州によって先進的な法整備が進んでいます。たとえば、カリフォルニア州では以下のような対策が導入・強化されています:
- EPS容器の禁止:発泡スチロール製食品容器の提供を禁止
- プラスチック製レジ袋の禁止:2026年から再生紙を利用した紙袋のみ可能
アメリカでは州ごとにプラスチックに関する規制が異なるため、日本企業がアメリカに輸出や製品展開を行う場合は州ごとのルール確認が必須となります。
<出典>
– JETRO「米カリフォルニア州で2026年からプラスチック製レジ袋が全面禁止へ」
– JETRO「米ロサンゼルス市で発泡スチロール(EPS)流通・販売禁止条例を施行」
アジア諸国のプラスチック規制の動き(2025年)
2025年に向けたプラスチック規制の動きは、欧米にとどまらず、アジア・中東・アフリカなど多くの地域へと波及しています。これらの地域では、経済成長と並行して増加するプラスチック廃棄物への対処が急務となっており、それぞれの事情に応じた法制度の整備が進められています。
中国のプラスチック規制の動き

中国では、すでに2020年に都市部でのレジ袋・食品容器等の提供禁止や制限が進められてきました。2025年までには、「プラスチック廃棄物の使用量削減」「リサイクル率の向上」「代替製品の開発」を始めとした管理制度を確立し、重要な都市のプラスチック製品埋立量を大幅に減らすことを目指しています。
<出典>
環境省Plastics Smart 「中国の施策概要」
台湾のプラスチック規制の動き

台湾では、「使い捨て飲料用カップの使用制限と実施方法」(2022年7月施行)が導入され、コンビニやファストフード店ではリユースカップの導入義務が強化されています。2023年には全店舗の5%、2024年に10%、そして2025年には30%まで増加し、同時に使い捨てカップ使用量を2025年までに25%削減する目標が設定されました。
この施策により、再利用容器の導入義務化が着実に進み、消費者のエコ意識向上と店舗での再資源化対応が進展しています。
プラスチック規制にどう対応していくべきか

2025年には国連の「国際プラスチック条約」の正式合意が予定されているだけでなく、EUや北米、アジア各国でも法制化・義務化の動きが加速しています。
また、国際社会の風潮として「単なるリサイクル推進」にとどまらず、製造・流通・廃棄に至るサプライチェーン全体に対して、素材選定・分別・再資源化の取り組みを推進する傾向があります。
製造業・流通業・小売業を問わず、これらに対応するためには、廃プラスチックの処理プロセスの見直しが不可欠です。
環境ソリューションの導入で持続可能な事業運営を
エルコムでは、こうしたプラスチック規制の変化に対応できるよう、以下のようなソリューション機器を開発・提供しています:
- プラスチックごみ圧縮・減容機:
廃プラスチックの体積を効率的に減らし、保管・輸送コストや処理にかかるCO₂を大幅削減 - プラスチッククリーンエネルギー化(燃料化)システム:
使用済みプラスチックをゴミとして排出することなく、熱エネルギー源として再利用する再資源化設備 - IoTスマート圧縮ゴミ箱:
プラスチックごみ処理の効率化と分別促進

これまで数多くの企業・自治体様での導入実績もあり、各事業者様の課題に応じて、どのようなソリューションを導入すべきかといったご相談も可能となっております。ぜひお気軽にお問い合わせください。
プラスチック規制を「経営リスク」ではなく「競争力強化」に
2025年以降のプラスチック規制は、従来の環境対応を一歩進め、経営戦略そのものにも直結しうる要素となります。
この変化を「コスト」ではなく「機会」として捉え、循環型ビジネスモデルへの転換を行っていく事で、企業の持続可能性と国際競争力を高めることも可能になるはずです。
エルコムでは、プラスチック廃棄物処理から再エネルギー化までを一貫して支援できる体制を整えています。
「自社の廃プラスチック処理を見直したい」「プラスチックのリサイクル対策を進めたい」とお考えの企業様は、ぜひ一度ご相談ください。

e-PEPシステムとは、使用済みプラスチックをその場で燃料化し、そのままエネルギーとして利用できる全く新しいエコリサイクルシステムです。
事業者が排出したプラスチックごみを発生元でリサイクルすることで、廃棄物処理にかかるコストやCO2排出を抑えながら、ごみを出さずに環境保護にも貢献します。
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