小型EVモビリティが注目される理由とは?メリットと導入事例、おすすめ製品についても解説!

私たちの暮らしのなかで、「移動」はなくてはならない行動です。
しかし、その移動手段が環境に与える影響は決して小さくありません。とくにガソリン車のCO2排出は、気候変動の大きな原因の一つとされています。
そんな中、注目を集めているのが【小型モビリティ】。
記事では、そんな小型EVモビリティの導入事例やおすすめ製品について詳しくご紹介します。
小型EVモビリティとは?次世代型の“脱炭素移動車”

“小型EVモビリティ”とは、自動車よりコンパクトで取り回しやすく、手軽に移動できる小型電気自動車のこと。
ガソリンではなく電気を燃料としているため、「脱炭素」を実現できる次世代のモビリティとして注目を集めています。
なお、国土交通省による定義では「超小型モビリティ」と呼ばれており、一般車や軽自動車とは以下のように区分されています。
第一種原動機付自転車 | 軽自動車 | 普通自動車 | |||
---|---|---|---|---|---|
(ミニカー) | 超小型モビリティ (型式指定車) | 超小型モビリティ (認定車) | 軽自動車 | (小型自動車) | |
最高速度 | 60km/h (道路交通法) | 構造上60km/h | 個別の制限付与 | 構造上の制限なし | 構造上の制限なし |
定格出力 | 0.6kW以下 | 0.6kW超 | 0.6kW~8.0kW | 0.6kW超 | 0.6kW超 |
長さ | 2.5m以下 | 2.5m以下 | 3.4m以下 | 3.4m以下 | 12m以下 (4.7m以下) |
幅 | 1.3m以下 | 1.3m以下 | 1.48m以下 | 1.48m以下 | 2.5m以下 (1.7m以下) |
高さ | 2.0m以下 | 2.0m以下 | 2.0m以下 | 2.0m以下 | 3.8m以下 (2.0m以下) |
(出展)国土交通省「超小型モビリティについて」
小型EVモビリティが注目される背景

昨今、地球温暖化や気候変動対策において、CO2削減は急務となっており、日本では平成28年5月に閣議決定した「地球温暖化対策計画」において、以下のCO2削減目標を掲げています。
<温室効果ガスの排出量>
2030年度に2013年度比▲26.0%(2005年度比▲25.4%)の水準(約10億4,200万t-CO2) にする。
<エネルギー起源CO2の排出量>
2030年度に2013年度比▲25.0%(2005年度比▲24.0%)の水準(約9億2,700万t-CO2)に する。
さらに大気汚染対策の観点からも自動車の排出ガス削減は急務であり、CO2や大気汚染物質を排出しないゼロエミッション自動車の一層の普及が求められているのです。
(出展) 国土交通省「超小型モビリティの成果と今後」
小型EVモビリティのメリット
CO2排出ゼロ:地球環境に優しい電気式

小型EVモビリティ最大の魅力は、走行時にCO2を排出しない点です。
従来の車両とは異なり、電気モーターで駆動するため、排気ガスが出ることはありません。そのため大気汚染の軽減や、温室効果ガス削減にも大きく貢献できます。
小型EVモビリティは、観光地、工場、離島、過疎地域など、さまざまな場所で「環境にやさしい移動手段」としての活用が進んでいます。
車検不要・100V/200V対応で手軽に導入可能

「EV」と聞くと、「充電が大変そう」「コストがかかりそう」といった不安を抱く方もいるかもしれません。その点、小型EVモビリティは、多くのモデルが家庭用の100Vコンセントでも充電可能となっています。
また車両区分上は「ミニカー」や「原動機付自転車」扱いとなり、車検が不要なものが多いこともメリット。法定点検や維持費の負担が軽く、導入・運用コストも抑えられるのが魅力です。
「既存の電源で充電できる」「車検不要で手軽に使える」という利便性の高さから、企業だけでなく個人や自治体での導入も進んでいます。
低速・小型だからこそ、都市・地方のどこでも使える

小型EVモビリティの最大の強みの一つは、車体が小さく小回りが利くこと。
都市部では、狭い路地や住宅街での取り回しのしやすさが重宝されます。高齢者のちょっとした外出、宅配サービス、工場敷地内での移動など、多くのシーンで小型EVが活躍しています。
地方や離島では、公共交通の代替手段としてのニーズが高まっています。過疎化が進むエリアではバスやタクシーの本数も限られており、「乗合タクシー代わりにEVを導入する」といった使い方を検討する自治体も出てきています。
速度制限があることで安全性も高く、観光地では「体験型モビリティ」としての活用も注目されています。たとえば、沖縄や軽井沢などの観光地では、小型EVを利用したツアーも話題を呼んでいます。
小型EVモビリティが選ばれる3つのシーンと活用事例
小型EVモビリティは、そのコンパクトさと環境性能を活かして、さまざまな場所で活躍しています。
中でも注目されているのが、観光地・過疎地・工場など、従来の移動手段ではカバーしきれなかった“ちょうどいい距離”の移動を求められる場面。
ここでは、実際の導入事例をもとに、小型EVモビリティが選ばれる理由を3つの活用シーンに分けてご紹介します。
インバウンド対応にも最適|観光地の“乗って楽しい”移動手段

近年、日本を訪れる外国人旅行者(インバウンド)の数は急増しています。そうした中、観光体験の一つとして注目されているのが小型EVモビリティによって「移動そのものも楽しむ観光」です。
たとえば、神奈川県鎌倉市では、小型EVモビリティを活用して観光客の利便性を向上させる取り組みが行われています。漫画やアニメの影響で人気のスポットも多い湘南・鎌倉エリアでは、周遊観光をするにしてもオーバーツーリズムによる混雑が問題となっていました。
小型EVの導入により、目的の観光地を効率的に回れるだけでなく、移動中の景色の魅力にも気づいてもらうなど、地域の価値向上効果も期待されています。
(出展)THE EV TIMES「湘南・鎌倉エリアの観光が電動トゥクトゥクで変わる! eMoBiが小型三輪EVと専用アプリで混雑解消を目指す」
過疎地・離島の新たな足として|乗合EVタクシー的な運用も期待

都市部とは異なり、地方の過疎地や離島では公共交通の便が限られており、高齢者の“ちょっとした外出”が大きな課題となっています。こうした地域で今、小型EVモビリティを使った“新しい公共交通”のかたちが模索されています。
たとえば、沖縄県久米島町・うるま市では、狭い道路が多い離島や過疎地域の事情を考慮した小型EVモビリティが開発され、話題となっています。
沖縄にはバスやタクシーがない地域も多いため、島民の移動手段として手軽に使える小型EVはメリットが高いとして、今後の普及が期待されています。
(出展)NHK沖縄 NEWS WEB「離島や過疎地域の狭い道路を考慮 小型EVの完成発表会」
工場・施設内の移動を電動化|カーボンニュートラルの推進に

製造業や物流拠点、広大な事業所などでは、「敷地内の移動効率」が生産性に直結します。ここでも、小型EVモビリティが“脱炭素”と“省力化”の両立手段として導入が進んでいます。
たとえば東京都にある運送会社では、自社倉庫間での数kmの移動にガソリン車を利用していました。
しかし、移動手段を自動車から小型EVモビリティに変えたところ、事業所全体のCO2排出が削減できただけでなく、燃料コストの削減や業務効率の向上にもつながっています。
このように事業所内での小型EVモビリティの利用は、倉庫から事務棟、構内搬送、来客の敷地内送迎など、日常的な移動手段をEV化することで、企業のカーボンニュートラルの実現を後押しします。
小型EVモビリティ 主要製品の特長とラインナップ
1. e-NEOシリーズ

「e-NEO」シリーズは、環境に配慮した小型EVモビリティ。
家庭用の100Vおよび200V電源で充電可能、車検・車庫証明が不要で、気軽に導入できる点が魅力です。また普通免許で運転可能なので、誰にでも使いやすい移動手段として注目されています。
さらに、小型モビリティは1人乗りのタイプが多い中、e-NEOは3人まで乗車可能。乗り合い移動にも活用できるのも大きなメリットです。
シリーズには以下のモデルがあります。
- 「NEO-ONE」:先進的なデザインと気軽に乗れる利便性で、様々な場面での移動に最適なモデルです。
- 「NEO-Light」:スペックを抑え、より気軽にEVを楽しめる仕様で、日常の移動などにぴったりです。
詳細は以下の製品サイトからもご覧いただけます。
2. 超小型BEVコムス(COMS)

トヨタ車体が提供する「コムス」は、1人乗りの超小型EVで、以下の2つのモデルがあります。
- P・COM:ショッピングや通勤・通学など、日常使いを想定したモデルです。
- B・COM:営業活動や宅配サービスなど、ビジネスシーンを想定したモデル。デリバリー、デッキ、ベーシックの3種類があり、利用用途に応じて選択可能です。
家庭用AC100V電源から約6時間で満充電が可能で、最高速度は60km/h、一充電走行距離は57kmです。
(参考資料)トヨタ車体「コムス」公式サイト
3. 電気ミニカー「Lala(ララ)」

富山県のタケオカ自動車工芸が製造する「Lala」は、1人乗りの超小型EVで、以下の特長があります。
- リチウムイオン電池仕様と鉛蓄電池仕様の3グレードがあり、ボディカラーも9色から選択可。
- 最高速度は60km/hで、一充電走行距離は120km(リチウム電池仕様)。
- 全長2245mm、全幅1290mm、全高1570mmのコンパクトサイズで、狭い道路でも走行可能。
さらに、オプションで非常用電源システムやソーラー発電の搭載、デリバリー業者のための電子レンジ搭載モデルも用意されているなど、様々な需要に合った選択ができる点も魅力です。
(参考資料) タケオカ自動車工芸 電気ミニカー「Lala」
4. EV MICRO 01

エイム株式会社が開発した「EV MICRO 01」は、2人乗りの超小型EVで、以下の特長があります。
- 全長2490mm、全幅1290mm、全高1570mmのコンパクトサイズで、狭い道幅の離島などでも走行可能です。
- 最高速度は60km/hで、一充電走行距離は120kmです。
「EV MICRO 01」は今後沖縄県での販売を予定しており、日常の手軽な交通手段として、また観光産業でのレンタカーやシェアカーとしての活用が期待されています。
(参考資料) AIM「EV MICRO 01」
5. mibot

KGモーターズが開発する「mibot」は、1人乗りの超小型EVで、以下の特長があります。
- 全長2490mm、全幅1130mm、全高1465mmのコンパクトサイズで、狭い道路でも走行可能。
- 最高時速60km、航続距離は100kmで、家庭用AC100V電源で約5時間で充電可能。
- 原付ミニカー規格で、車検不要・税金も安く、コストパフォーマンスに優れています。
詳細は公式サイトをご覧ください。
(参考資料) KGモーターズ公式サイト
これらの小型EVモビリティは、観光地での体験型移動手段、過疎地域や離島での乗合タクシー的な移動手段、工場内や事業所間の移動の脱炭素化など、さまざまなシーンでの活用が期待されています。
導入を検討される際は、各製品の特長や用途に応じて最適なモデルを選択してください。
小型EVモビリティの導入で、環境・地域課題の解決を

地球温暖化や人口減少、インフラの老朽化といった、これからの社会が直面するさまざまな課題。そのどれとも関連するのが、私たちの「移動」に関わる問題です。
環境に配慮しながらも、誰にでも使いやすく導入コストも抑えられる。そのバランスの良さが、小型EVならではの魅力です。単なる交通手段にとどまらず、地域の未来を支えるインフラとして、また事業課題の解決策として、より多くの現場での活用が期待されています。