スコープ3(Scope3)とは?サプライチェーン排出量の開示義務化と廃棄物対策の重要性を解説

スコープ3(Scope3)とは?サプライチェーン排出量の開示義務化と廃棄物対策の重要性を解説

「2050年カーボンニュートラル」の実現に向けて脱炭素経営への動きが加速する中、今多くの企業が対応を急いでいるのが「スコープ3(Scope 3)」です。

特に2027年3月期からは、一部の企業で情報開示の義務化が始まる流れとなっており、上場企業だけでなく、その取引先である中小企業にとっても無視できない課題となっています。

本記事では、

  • スコープ3とは何か
  • なぜ今、重要視されているのか
  • スコープ3の削減に向けて事業者ができること

を、できるだけ分かりやすく解説していきます。

目次

スコープ3とは何か? 基礎知識をわかりやすく解説

スコープ3を理解するためには、まず「スコープ1・2・3」という排出量区分の考え方を理解する必要があります。これらは国際的な基準である「GHGプロトコル」によって定義された、温室効果ガス排出量の算定範囲のことです。

それぞれの違いを簡単に整理すると、以下のようになります。

スコープ1(直接排出):自社で直接「燃やす」ことで発生する排出です。
【例】工場のボイラー、社用車のガソリン使用 など

スコープ2(エネルギー起源間接排出):他社から「買う」エネルギーの使用に伴う排出です。
【例】オフィスや工場で使用するために購入した電力、熱、蒸気

スコープ3(その他の間接排出):自社の活動の「その先(Beyond)」にある、サプライチェーン上の他社における排出です。 
【例】原材料の調達、製品の輸送、従業員の通勤、製品の使用、そして製品の廃棄など

fig02
画像引用:環境省 グリーン・バリューチェーン・プラットフォーム「サプライチェーン排出量全般」より

つまり、スコープ3は「自社では直接CO₂を出していなくても、事業活動に関わっているすべての排出量」を指します。

スコープ3の15のカテゴリ分類

スコープ3(Scope3)は、具体的には15のカテゴリに分類されています。

区分該当する排出活動(例)
1購入した製品・サービス原材料の調達、パッケージングの外部委託、消耗品の調達
2資本財生産設備の増設(複数年にわたり建設・製造されている場合には、建設・製造が終了した最終年に計上)
3Scope1、2に含まれない燃料及びエネルギー活動調達している燃料の上流工程(採掘、精製等)
調達している電力の上流工程(発電に使用する燃料の採掘、精製等)
4輸送、配送(上流)調達物流、横持物流、出荷物流(自社が荷主)
5事業から出る廃棄物廃棄物(有価のものは除く)の自社以外での輸送(※1)、処理
6出張従業員の出張
7雇用者の通勤従業員の通勤
8リース資産(上流)自社が賃借しているリース資産の稼働
(算定・報告・公表制度では、Scope1、2 に計上するため、該当なしのケースが大半)
9輸送、配送(下流)出荷輸送(自社が荷主の輸送以降)、倉庫での保管、小売店での販売
10販売した製品の加工事業者による中間製品の加工
11販売した製品の使用使用者による製品の使用
12販売した製品の廃棄使用者による製品の廃棄時の輸送(※2)、処理
13リース資産(下流)自社が賃貸事業者として所有し、他者に賃貸しているリース資産の稼働
14フランチャイズ自社が主宰するフランチャイズの加盟者のScope1、2 に該当する活動
15投資株式投資、債券投資、プロジェクトファイナンスなどの運用
その他(任意)従業員や消費者の日常生活

※1 Scope3基準及び基本ガイドラインでは、輸送を任意算定対象としています
※2 Scope3基準及び基本ガイドラインでは、輸送を算定対象外としていますが、算定頂いても構いません。

(出典)環境省 グリーン・バリューチェーン・プラットフォーム「Scope3排出量とは

スコープ3がなぜ今、注目されているのか

最大の理由は、企業の総排出量に占めるスコープ3の割合が圧倒的に大きいからです。多くの組織において、スコープ3は全排出量の約70%以上を占めるもと言われています。

例えば、製品を一つ作る際、自社工場でのエネルギー消費(スコープ1・2)よりも、その原材料を作る過程や、使い終わった後にゴミとして処理される過程(スコープ3)の方が、環境負荷が大きいケースが多々あります。

このため、真のカーボンニュートラルを実現するには、自社の枠を超えて、原材料の調達から廃棄までの「バリューチェーン全体」で削減に取り組むことが不可欠なのです。

2027年から順次義務化!スコープ3開示の最新動向

サステナブルな都市のイメージ

「スコープ3は範囲が広くて大変そう……」と感じるかもしれませんが、実はもう「努力目標」で済まされる段階ではなくなってきています。

国内外でルール作りが急ピッチで進んでいる、最新の動向を解説します。

国際基準と日本国内での義務化スケジュール

2023年6月、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が、スコープ3を含む温室効果ガス排出量の情報開示を義務付ける世界共通の基準を発表しました。

これを受け、日本でも「サステナビリティ基準委員会(SSBJ)」が日本版の基準策定を進めています。この基準に該当する企業(主にプライム市場の上場企業など)は、2027年3月期から順次、スコープ3を含むサステナビリティ情報の開示が義務化される見通しとなっています。

つまり、あと数年のうちに「自社の排出量だけでなく、取引先の排出量も報告する」ことが当たり前になっていく可能性が高いのです。

(出展)金融庁「金融審議会『サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ」』報告の公表について

大企業から中小企業への波及効果

「うちは上場企業ではないから関係ない」
と思われるかもしれません。

しかし、スコープ3の影響は「サプライチェーン全体」にあります。

開示義務を負う大企業は、取引先(サプライヤー)である中小企業の排出量も正確に把握する必要があります。そのため、取引先に対して排出データの提供や、具体的な削減努力を強く求めるようになります。

実際に大手製造業では、すでに取引に対してカーボンニュートラルへの対応を要請する動きが加速しています。

これからの時代、スコープ3への対応は単なる環境活動ではなく、「大手企業と取引を続けるための必須条件」になりつつあると言えるでしょう。

スコープ3対策に有効な環境ソリューション機器

スコープ3における温室効果ガスの削減は、自社だけで完結するものではありません。

しかし、適切な設備を導入することで、サプライチェーン上の輸送効率を高めたり、廃棄物処理に伴う負荷を直接的に軽減したりすることが可能になります。

ここでは、スコープ3の対策に有効性が高い環境ソリューションをご紹介します。

業務用ごみ圧縮機・破砕機による「輸送コストと排出量」の同時削減

事業活動で発生した廃棄物の輸送や処理に伴う排出は、スコープ3の「カテゴリ5」に該当します。

  • ソリューション: 業務用ごみ圧縮機・破砕機で廃棄物を減容化。
  • 削減効果: 1回あたりの輸送量を増やして回収頻度を大幅に減らすことで、運搬車両から排出されるCO2を直接的に削減します。また、同時に物流コストを下げられるというメリットもあります。
  • 導入事例:工場・物流、小売、ホテル、飲食業、自治体、医療・福祉施設など
小型自動ゴミ圧縮機「PREMO(プレモ)」
自動ゴミ圧縮機プレモ

プラごみ燃焼エネルギー化プラントによるサーキュラーエコノミーの実現

自社製品が廃棄される際の排出量は「カテゴリ12」に分類されます。

プラスチックを単なる「ゴミ」として埋め立て・焼却するのではなく、エネルギーとして回収(サーマルリカバリー)する仕組みを構築することは、サプライチェーン全体の環境負荷低減に直結します。

  • ソリューション: プラスチック燃焼エネルギー化プラントの導入。
  • 削減効果: 廃棄物をエネルギー資源として再利用することで、化石燃料への依存度を下げ、製品ライフサイクル全体での排出量を抑制します。
e-pepシステム
プラスチッククリーンエネルギー化システム e-PEP

今後は大手企業でも、スコープ3削減のために、具体的な削減実績を持つサプライヤーを優先する可能性もあります。

このように廃棄物の減量や輸送効率の向上を数値化して提示することは、単なる環境対策を超えて、「選ばれる企業」としての強力な営業武器となりえます。

まとめ:スコープ3対応を経営のチャンスに変える

スマートシティのイメージ

スコープ3への対応は単なる「義務」ではなく、業務効率化やコスト削減、ひいては企業のブランド価値向上につながる投資です。

「具体的に何から始めればいいのか?」「導入による削減シミュレーションを知りたい」という担当者の方は、ぜひ一度弊社へご相談ください。

弊社の環境ソリューションを通じ、貴社のスコープ3対応を進めるお手伝いをいたします。

スコープ3(Scope3)とは?サプライチェーン排出量の開示義務化と廃棄物対策の重要性を解説

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