街から海へ。海洋プラスチックごみ汚染の原因と私たちにできる対策とは?

私たちの暮らしにとても身近な「プラスチックごみ」。
その多くが、実は最終的に海へと流れ込んでいることをご存知でしょうか?
ペットボトル、ビニール袋、食品トレー…。
日常で何気なく使って捨てたものが、やがて海を汚し、海の生きものや人間の健康にも悪影響を与えているのです。
この記事では、海洋プラスチックごみの現状とその深刻な影響、そして問題への実際の取組み事例を通して、「私たちにできること」を考えていきたいと思います。
海洋プラスチック汚染の現状とは?世界が直面する深刻な問題
海に流れるごみの約8割は「街」から来ている
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「海のごみ」と聞くと、漁業や港から出るごみを想像する人も多いかもしれません。
でも実は、海に流れ込むごみの約8割は、私たちが住む「街」からやってきているといわれています。
つまり、私たちの生活が、海洋汚染の大きな原因になっているのです。
▼海洋プラスチックごみの主な流れ

たとえば、道路や公園に捨てられたプラスチック容器が、雨で流され、川を通ってそのまま海まで運ばれてしまう――。
これが、街のごみが海へ到達する一連のメカニズムです。
なぜ街から海へ?海洋プラスチックごみの流出メカニズムとは
ここまで見ると、「川が近くに無ければ、ごみは海までは行かないだろう」と思う方もいるでしょう。
しかし、それは大きな勘違いです。
街中でポイ捨てされたごみは、雨が降ると流されていきます。そしてごみが道路脇の側溝などに流れ込むと、雨水と共に下水道に入り、川に流れ出して最終的に海に到達してしまうのです。
▼ 街のごみ → 海へ到達する流れ

この流れの中で、たとえ一度も「海の近くに行ったことがないごみ」でも、巡り巡って海へと辿りつくのです。
海洋プラスチックごみが与える環境・生態系への影響
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プラスチックは私たちの生活に欠かせない素材ですが、自然環境の中では何百年も分解されず残り続けます。
その結果、海の中ではさまざまな問題が起きています。
▼ 主な影響
- 海の生物がプラスチックを誤飲
ビニール袋をクラゲと間違えて食べてしまうウミガメなどが多数報告されています。 - マイクロプラスチックの蓄積
細かく砕けたプラスチックが魚の体内に取り込まれ、食物連鎖を通じて人間にも影響が出る恐れがあります。 - 景観や観光資源の破壊
海岸に打ち上げられた大量のごみが、美しい景色や観光業にも悪影響を与えています。
このように私たちが街で捨てたごみは、決してそこで終わりではなく、巡り巡って地球全体に影響を与えているのです。
「混ぜればごみ、分ければ資源」— 分別回収の意義とは

ごみ分別で様々なリサイクルが可能に!
「分別って面倒だな…」そんなふうに思ったこと、誰しも一度はあるのではないでしょうか。実は、ごみを正しく分けることは、環境だけでなく私たちの社会にも大きなメリットをもたらします。
▼ ごみ分別による主なメリット
- プラスチックの再資源化で新たな資源が不要に
例:回収されたペットボトルが、またペットボトルや繊維製品して生まれ変わる - 焼却ごみの量が減る → CO₂削減
燃やす量が減れば、地球温暖化対策にもつながります - プラスチックのエネルギー利用でコスト削減にも貢献
プラスチックを燃料として再利用すれば、燃料コスト削減も可能
特に日本では、「資源ごみ」や「プラスチック容器包装」といった細かい分別ルールがあります。
自治体によって違いはありますが、きちんと分ければ、驚くほど多くのものがリサイクル可能です。
ヨーロッパでは当たり前!リサイクル回収ポイントとは
「使い終わったペットボトルや缶を捨てるのではなく、リサイクルのために返却する」
そんな仕組みが、ヨーロッパではもう当たり前になっています。
たとえばドイツでは「Pfand(プファンド)制度」というシステムが導入されていて、
ペットボトルや瓶、缶を返却すると1本につき約25セント(約40円)が戻ってきます。(瓶・缶の種類により金額は異なります)
▼ ドイツのリサイクル回収システム(Pfand制度)
ステップ | 内容 |
① 商品購入時にデポジット加算 | 飲料代 + 容器保証金(Pfand) |
② 空容器を回収機に投入 | スーパーや駅などに設置 |
③ デポジット返金 | レシート形式で返金、買い物にも使える |
この制度のおかげで、ドイツの飲料容器の回収率は90%以上。街中でポイ捨てされる容器ごみはほとんど見かけません。
こうした仕組みは「リサイクル=特別なこと」ではなく、生活の一部として根付いているのです。
<出典>
NTTコムウェア「世界IT事情 第4回 ドイツ・ベルリン」
海洋プラスチック汚染対策の取組み事例:「すすきのクリーンオーシャンプロジェクト」

海洋ごみの8割が街から来る――。
そんな現実にストップをかけるために、札幌・すすきので始まったのが
「すすきのクリーンオーシャンプロジェクト」です。
すすきのクリーンオーシャンプロジェクトの概要

このプロジェクトは、一般社団法人北海道海洋文化フォーラム主催・株式会社エルコム協働のもと、札幌市・企業・地域団体が連携して行っている取り組みです。
この取り組みでは、すすきのエリアにペットボトルやキャップを回収するごみ箱(リサイクルボックス)を設置し、ポイ捨て防止とプラスチックの回収・再利用に取り組むほか、市民参加型のごみ拾いイベントを通して、観光都市にふさわしい環境づくりと海洋ごみ問題への意識向上に貢献します。
道行く人がごみを正しく分別して捨てることができる仕組みを街中に設けることで、街もきれいに、そして最終的には海のごみも減らすことにつなげています。
■すすきのクリーンオーシャンプロジェクト公式ページ : https://www.hbc.co.jp/tv/susukino_clean/
すすきのクリーンオーシャンプロジェクトのポイント

- すすきのを代表する商業施設にごみ箱を設置
→ ポイ捨てを防ぎ、資源を回収しやすく - 回収されたペットボトルはリサイクルし、ボトルキーパーに
→ 資源の有効活用、CO₂削減に貢献。すすきの地元民にも親しみのあるグッズに - 地域企業・行政・市民が連携
→ 地域ぐるみのアクションで、市民のごみ分別・ポイ捨て防止の意識向上 - 観光都市としての美観も向上
→ 清潔な街づくりは観光誘致にも好影響
このプロジェクトの特徴は、ただの清掃活動ではなく、
街中のごみを「海洋ごみ化」させないために、市民への意識改革から取り組む点にあります。
また、設置されたボックスには「分ければ資源、混ぜればごみ」という
わかりやすいメッセージが添えられ、通行人の意識も自然と変わっていきます。
なぜ「すすきの」なのか?

すすきのといえば、札幌最大の歓楽街であり、観光客や飲食店利用者が多く、ごみの発生量も非常に多いエリアです。
とくに「ポイ捨ての多さは市内でもトップクラス」とされ、近くを流れる川を通じて、最終的にごみが海へと流れ出るリスクも高い地域なのです。
だからこそ、“街で出るごみを街で止める”という実践に最もふさわしい場所として、このプロジェクトの舞台に選ばれました。
市民参加型のアクションで「街も海もクリーンに!」
すすきのクリーンオーシャンプロジェクトは、単なる「ごみ箱を設置して終わり」の取り組みではありません。
地域の企業や自治体、環境団体と手を取り合い、市民が自然と参加できる仕組みをつくりながら、“街も海もクリーンに!”というテーマのもと、活動が進められています。
同団体では、昨年2024年も札幌市内で同様の取組み『海の美サンガプロジェクト』を実施。


これらの活動を通じて、観光都市としてふさわしいクリーンな環境づくりとともに、
「自分のごみが海を汚すかもしれない」という意識の変化を地域全体で目指していきます。
2025年度の一斉清掃イベントは8月24日(日)に開催予定。応募受付期間は8月1日(金)〜8月15日(金)までとなっています。
▼すすきのクリーンオーシャンプロジェクト 一斉清掃イベント開催概要
- 開催日:2025年8月24日(日)
- 募集人数:先着150名
- 応募期間:8月1日(金)〜8月15日(金)
- 集合場所:COCONO SUSUKINO(ココノススキノ)3階 屋内広場・特設会場
- 応募フォーム:https://www.hbc.co.jp/tv/susukino_clean/
私たちにできること|ごみを出さない・流さない暮らしへ
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海の汚れを生み出しているのは「どこか遠くの話」ではなく、私たち一人ひとりの“身近な行動”の積み重ねです。でも逆に言えば、ほんの少しの意識や行動の変化が、未来の海を守る力になるということ。
ここでは、今日から実践できる具体的なアクションをいくつかご紹介します。
私たちが今日からできる3つのアクション
▼ 個人が今日からできること
1.ポイ捨ては絶対にしない
当たり前のことですが、たった1個のペットボトルや吸い殻が海のごみになる可能性があります。
自分の手で出したごみは、最後まで責任をもって処理しましょう。
2.買い物時はマイバッグ&マイボトルを持ち歩く
レジ袋やペットボトルの使用を減らすことは、使い捨てプラスチック削減に直結します。
「毎回はムリでも、週に数回」でもOK!無理なく始めてみましょう。
3.分別をしっかり確認して捨てる
自治体の分別ルールは地域によって異なるので、「ちょっと調べてから捨てる」だけでも立派な行動です。
“混ぜればごみ、分ければ資源”の意識を忘れずに!
企業・自治体・地域で取り組める対策とは?
個人の行動だけでなく、企業や自治体の取り組みも重要です。
▼ 企業や地域ができること(例)
- ごみ圧縮機や再資源化装置の導入
→ ごみの減量・再利用を効率化。街の清潔さにもつながる - 公共の場への回収ボックス(ごみ箱)設置
→ ポイ捨ての抑止とリサイクルの習慣化を両立 - 定期的なクリーンイベントの開催
→ 清掃+地域のつながり強化、環境意識の向上にも
このような環境ソリューション機器の活用と仕組みづくりによって、街と海を一緒に守る循環型の取り組みが実現できます。
エルコムでは、企業・自治体による海洋ごみ対策の取組みを支援しております。
単なる環境対策だけではなく、補助金を活用したソリューション導入や、省人化・コスト削減等を両立する方法のご提案も行っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

まとめ|街から始まる海洋ごみ対策。未来の海を守るのは私たち一人ひとり
海洋プラスチックごみの問題は、決して海だけの話ではありません。
街でのごみの扱い方が、そのまま海の未来を左右しているのです。
今回ご紹介した取り組み事例のように、街から、企業から、そして私たち一人ひとりから始められることはたくさんあります。
未来のきれいな海を守るために。
まずは自分の行動をほんの少しだけ見直すことから始めてみませんか?
Reebo(リーボ)は、次世代型のスマート圧縮ごみ箱です。
自動圧縮により従来の約4倍のごみを収納でき、IoT監視機能付きでごみ箱内の保有量を遠隔で確認することが可能です。回収が必要になるとお知らせメールが届くため、何度も確認や回収に行く必要がなく、清掃作業の効率化と省人化が実現できます。
また、AI識別機能も搭載しており、人流解析により蓄積したデータをもとに、ユーザーに最適な情報をモニターで配信。消費者がごみ箱にごみを捨てたくなるような付加価値の発信を行うことができる、これまでにない全く新しい発想のリサイクルボックスです。
製品詳細・カタログは以下のページからご覧いただけます。また、お見積はエルコム公式サイトよりぜひお問合せください。