発泡スチロールの原料や種類、作り方は?メリットや活用方法についても紹介

建築分野での発泡スチロールの役割(イメージ)

発泡スチロールは、日常や社会生活において様々な用途で役立つ非常に優秀な素材。その多くのメリットから、私たちの生活に欠かせない存在として広く利用されています。

しかしその一方で、発泡スチロールの廃棄により、海洋プラスチックごみ問題などの環境問題も深刻化しています。環境への負荷を減らすためには、発泡スチロールについて知り、正しい使用と処理を行うことが不可欠となっています。

そこで今回は、発泡スチロールの基礎知識、正しい処理方法やリサイクル方法について、2回の記事に分けて詳しくご説明します。第一回目となる本記事では、発泡スチロールの基礎となる原料や作り方などについても触れながら、そのメリットや主な活用事例についても解説させていただきます。

目次

発泡スチロールとは?

発泡スチロールの写真

発泡スチロールの歴史は、1940年代にアメリカで開発されたことに遡ります。当初は包装材や断熱材としての利用が主でしたが、その後、多様な分野で活用されるようになりました。

軽量であるため輸送コストを抑えることができ、優れた断熱性により食品の保管や輸送、容器などに広く利用されます。また衝撃吸収性にも優れていることから家具や家電をはじめとしたさまざまな製品の保護材や梱包材としても使用されており、現代の生活においては必要不可欠な素材となっています。

発泡スチロールはどのように作られる?

発泡スチロールの原材料

発泡スチロールの原料であるポリスチレン樹脂(イメージ)

「発泡スチロールはプラスチックなの?」という疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。

発泡スチロールの原料は、石油から作られたプラスチックの一種であるポリスチレン樹脂です。その樹脂に発泡剤を加えて作られた原料ビーズに、蒸気を当てて加熱し、樹脂を膨らませて作られます。

発泡スチロールは原料を約50倍にも膨らませて作られるため、その成分の98%は空気で、原料はたったの2%と言われています。

発泡スチロールの種類

発泡スチロールにはいくつかの種類があります。

  • ビーズ法発泡ポリスチレン(EPS)
    最も一般的に広く使われているタイプの発泡スチロール。食品容器や家具の梱包、保温・保冷用のクーラーボックス、漁業に使う漁具など様々な用途に使用されます。
  • 押出法発泡ポリスチレン(XPS)
    密度が高く、断熱性能が優れているため、建築材料などによく使われます。

発泡スチロール(EPS)の作り方

発泡スチロールの原料と作り方

ここでは最も一般的な発泡スチロールといわれているEPSの製造方法をご紹介します。

  1. 石油からポリスチレン樹脂を作ります。
  2. ポリスチレン樹脂に発泡剤を加えて、原料ビーズを生成します。
  3. 原料ビーズを蒸気で加熱し、膨らませます(予備発砲)。
  4. 予備発泡したビーズを型に入れ、更に蒸気で加熱することで、成形された発泡スチロール製品が完成します。

(出典): JEPSA発泡スチロール協会「発泡スチロールができるまで

発泡スチロールの利点とメリット

発泡スチロールの利点とメリット(イメージ)

発泡スチロールを使用するメリットは、主に以下の点にあります。

  • 軽量性
  • 優れた断熱性能
  • 衝撃吸収性
  • 耐水性
  • 加工のしやすさ
  • 経済性

軽量性

約98%が空気からできているため、非常に軽量な素材で、持ち運びや取り扱いが容易です。特に、包装材や建築資材として使用する場合、その軽さが大きな利点となります。

優れた断熱性能

多くの空気を含んでいるため断熱性能に優れています。冷凍・冷蔵食品の保管や輸送、建物の断熱材としても有効に活用できます。

衝撃吸収性

衝撃吸収力が高く、緩衝材としても優れています。家電製品や精密機器の包装に使用することで、輸送中の損傷を防ぐことができます。また、ヘルメットやスポーツ用プロテクターにも利用されています。

耐水性

耐水性が高いため、船舶の浮力材や、漁業分野における漁具(フロートやブイなど)に広く使われています。また、湿気の多い環境や地下室、基礎断熱材としても使用されます。

加工のしやすさ

切断や成形が容易で、多様な形状やサイズに加工できます。この特性は、建築模型やディスプレイ、アート作品など、創造性を必要とする分野で特に有用です。また、簡単に接着や塗装ができるため、多用途に対応できます。

経済性

原料の素材割合が約2%、残りは空気であるため、製造コストが比較的低く作ることができます。

発泡スチロールの主な用途と活用事例

多くの利点とメリットにより、発泡スチロールは多岐にわたる分野で広く利用されています。ここでは、発泡スチロールの主な用途や使用例をご紹介します。

漁業分野での発泡スチロールの役割

漁業分野での発泡スチロールの役割(イメージ)

養殖

発泡スチロールは、その軽量性と浮力の特性から、養殖用のフロートやブイとして広く利用されています。また、耐水性と耐久性があるため、海水や紫外線による劣化が少なく長期間使用できます。これにより、魚や貝類の養殖場での効率的な運営が可能となります。

海産物の輸送・運搬・保管

発泡スチロール製の保冷箱は、海産物の輸送において不可欠です。高い断熱性能により、温度を一定に保ち、鮮度を保ちながら長距離の輸送が可能です。また、軽量でありながら耐久性があるため、輸送中の衝撃から海産物を守ります。

建築分野での発泡スチロールの役割

建築分野での発泡スチロールの役割(イメージ)

断熱材

発泡スチロールは、建築用断熱材として広く利用されています。住宅や商業施設の壁や屋根、床に使用され、高い断熱性能でエネルギー効率を向上させ、冷暖房費の削減に貢献します。

軽量コンクリートの型枠

発泡スチロールは、軽量コンクリートの型枠としても利用されます。その軽さと加工のしやすさにより、建築作業の効率化とコスト削減が図れます。

生活の中での発泡スチロールの役割

生活の中での発泡スチロールの役割(イメージ)

家電製品・精密機器の梱包

発泡スチロールは、家電製品の梱包材として広く使用されてます。衝撃吸収性が高く、輸送中の損傷を防ぐことができます。テレビ、冷蔵庫、電子レンジなどのほか、精密機器など様々な製品の保護材として利用されています。

冷凍・冷蔵庫の断熱材

発泡スチロールの優れた断熱性能は、冷凍・冷蔵庫の断熱材として利用されています。これにより、冷気の保持が向上し、エネルギー効率が高まり、電力消費の削減に役立ちます。

まとめ

発泡スチロールがたくさん集まっている様子

本記事では、発泡スチロールの原料や製造方法、どんな使い方ができるかについて詳しくご紹介しました。

発泡スチロールは、その多くのメリットから、社会において様々な分野で活用されています。しかしその便利さの一方で、適切な使用と処理を怠ってしまうと、環境問題や海ごみ問題へも繋がる可能性があります

次回の記事では、発泡スチロールの処理方法やリサイクルの重要性について詳しく解説します。ぜひ正しい知識を持ち、持続可能な利用方法を追求しましょう。

建築分野での発泡スチロールの役割(イメージ)

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